第3話

「お前。今どこに住んでる」


「公園に…」


ホームレスか。


「友達もか?」


「ううん。友達は一人暮らし。一つ上なの。私は、4月から住ませてもらう予定で。施設は卒業式の後に追い出されちゃった。新しい人が来るからって」


「施設に戻るのはもう無理なわけな」


「…うん。だから仕事したんだけど、なかなか決まらなくて」


「お前若いからいくらでも働けるだろ」


「私、不器用なのかな。居酒屋とかやってみたけどクビにされて。他の仕事も受けたけど、全然ダメ…施設の子はダメって言われたりもして、なんにもできなくて」


見た感じ、不器用ではなさそうだが。ホームレスなのがだめなのか?服装とか頭髪が汚れてるからとか。そういうくだらない理由だろうか。


「…お金なくて、だからここに来たの」


…バカだな。俺に自分のこと言いふらして。なんでも面接でしゃべりそうだ。


「お前。うちに住むか?」


「…え?お家?」


「嫁にでもなる?仕事だろ?」


「え…それって、仕事なのかな…?」


「とりあえず車乗って。待っとけ」


自分の車の後部座席に乗せて待たせることにした。女は舎弟にできないからおかしなことを言ってしまった。

舎弟の元に戻り、後処理は任せて再び車へ戻った。


「待たせたな。帰るぞ」


「あ、はい」


頷いたので、そのまま車を走らせる。


「お前名前は?」


美山百美みやまももみです」


「俺は早川保科はやかわほしな。ヤクザやってる。金はもらってるから養えるぞ」


「ほしなさん?珍しい名前」


名前呼ばれることはほぼないから、なんか微妙な気持ちだ。

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