第2話 ダイジョブと言っていればだいたいダイジョブ
この職場でベトナムからの実習生複数人と一緒に働く事になった。
その内の1人、名前はバンと言う。
明るい性格であり若くて体力もある。
口癖はダイジョブダイジョブ。
体力があり助けられる事も多い。
それでもそれだけでは済まない事もある。
結構仕事が雑なのだ。
日本人ではやらない基準でもザザッと
適当にやっつけ仕事をする事がある。
なので全任せは出来ない、
しかし彼は彼で今までやって来た経験で
指示しても聞かない事がある。
こんな事があった。
薄い鉄板を10数枚、倉庫2階へ移動させる作業が出た。
結構ひん曲がっているので、きっちり合わせても結構バラバラになる。
それをワイヤロープで縛ってホイストで吊り上げて移動させて奥にしまうよう言われた。
本当はかさばる重量物など2階に置きたくも無いが、場所が無いからと指示を受けた。
それをバンと他の人間と共にやる事になった。
バンは率先して仕事に取り組んでいるが、荷物を整えて載せたり、それをワイヤロープで縛るのもバランス良く出来てないまま作業だけは進めてた。
おいおい、お前俺より経験長いけど、玉掛けのやり方ちゃんと教わってないだろ。本当に大丈夫か!?
ダイジョブダイジョブ!
怖いからその場に居た上司に確認したが、まあゆっくり動かせば大丈夫だろう、バン!ゆっくりやれよ!と上司が声を掛けた。
ハーイ!ワカマチター!
まず玉掛けも持ってる自分が下の階から上の途中までリモコンで操作する。講習で習ったようになるべく振動や加速で大きくブレないように慎重に操作した。
途中で、上で待機している上司とバンとバトンタッチし、操作リモコンを手渡した。
バン、頼むから慎重にやってくれよー
アキツさん、ワカマチターダイジョブダイジョブ。
バンの作業は、現場で覚えたのでさっさとと作業は早い。
早いがさっさと終わらせたい感情が作業にも出ていて、
移動中に当たったり動きに加速がついて大きく振り子のように鉄板が振れる!
バーン!もっとゆっくりー落ちるぞー!?
ダイジョブダイジョブ・・・
加速がついて荷物が緩んだ結果、
ガラガラガラーッと音がしてホイストクレーンで吊っているから鉄板半分が落ちて来た。
バカヤロー、加速が早えんだよ!!
落ちる事も予測して
少し動いた時点で逃げる準備をしていたため、
間髪入れず逃げる事が出来た。
ダ、ダイジョ・・・
バカヤロウ!大丈夫じゃねえだろ。
何やってんだよ!
ニ、ニホンゴ分かりません。
・・・コイツ、ダイジョブと日本語分かりませんだけで物事終わらせる気か。
でも、人が少ないわ、辞めさせる権限ないわ、社長は人件費安いからそれでもやれとしか言わんわ。
最悪だな。
全任せ出来ないから本当に何をどうしても問題無さそうなレベルの事しか任せられない。それでも人も体力も無いこの場所では貴重となってしまう。
(どうしようもねえ職場だなぁ・・・)
危険を目の当たりにしても、
明日は明日で彼と仕事を進めなければならない。
次も何とか避けんとなぁ・・・。
心の中でつぶやいた。
地獄で働く男 @hotaruika47
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