近付く距離

第10話 ミニ会議

 ある日の昼休憩。生徒会室に生徒会役員全員(約一名を除く)が集まっていた。

 入学式、始業式以来の大きな行事ごとに裕美は、張り切って話を進めていく。


「それじゃ後の予定もあることだし、手短に済ませようか。次の土日に開催されるみなと祭りでは、うちの学校からは、ダンス部が参加します。私たち生徒会はサポートに入ります」


「今さらだが、サポートって具体的には何をするんだ?」


 高町が裕美に疑問を投げ掛ける。

 そもそもこのみなと祭りについてだが、簡単に説明すると地元の大きなお祭りだ。2日間に分けて創作踊り「ええじゃん」を1日目に小中学校部門、2日目に高校、一般部門で踊るのが、メインイベント。部門があると言うことは、表彰もされる、それなりに大きなお祭りである。

 希の通った小中学校では、ある学年になると全員必ず参加。ようはこの地域出身なら一度は出たことある様な祭りなのだ。

 そんな祭りだが、この高校ではダンス部+α(自主参加者←みなと祭り期間限定部員)のみが出場する。ようやく、強制参加の行事から解放されたと思っていた希だが、結局生徒会役員として何かしら関わる事になったらしい。


「1日目に行く人は、ゴミ拾いのボランティア。2日目に行く人は、参加者の写真撮影だね」


「それこそ写真部の仕事なんじゃ?」


「写真部は写真部で、当日は活動してるよ。私たちは、掲示板広報用に撮影するの」


「なるほどな。で組分けは?」


「1日目は全員参加で、私と希、呉葉と大智のペアでゴミ拾いのボランティア。2日目は私と希で写真撮影するから」


「異議あり! なんで2日間とも参加せにゃならんのじゃ」


 すかさず希は裕美に異議申し立てをおこなう。


「キミは庶務でしょ。それに、雑務は優先してやってくれる約束でしょ?」


「ぐっ、確かに……」


 希の異議は簡単に却下される。と言うか、裕美の言い分に納得してしまった以上、希の負けだ。


「呉葉と大智はどう?」


「問題ないです」


「同じく」


「オッケー。なら当日はよろしくね!」


こうしてこの日の会議は幕を閉じた。

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