⑤無限を呼ぶ無限(最終更新日:2001年1月26日)
『無限を呼ぶ無限』 説明書
始めに
このたびは、『無限を呼ぶ無限』をお買い上げ頂き、まことにありがとうございます。
このゲームは一人用ゲームです。二人以上でプレイしたい場合は、別売りの拡張ファイルをご購入ください。
このゲームには、一八歳未満にはふさわしくないと思われる描写が含まれています。
このゲームをプレイ中にご気分が悪くなられた方は、同梱されている錠剤を二錠、多量の水と共に飲んでください。無理をしてプレイを続行されますと、命に関わる場合があります。
一時間ごとに、意識の混濁や記憶の混乱がないことを確認してください。もしも、そのような症状が現れた時は、同梱されている携帯電話のリダイヤルボタンを押してください。そして、然るべき指示を仰いでください。
このゲームとどうしても同調できない場合、または同調率が甚だしく、夢の中にまで執拗にゲームのキャラクターが現われるような場合は、同封されている往復葉書にその旨を書いて投函してください。適切な処置をお知らせします。
このゲーム中の事故に関しては、自己責任であるものとし、当社は一切の責任を負いかねます。ご了承下さい。
このゲームは、フィクションです。実際の個人名、団体名、会社名とは一切関係がありません。
ゲームのルール
・世界観
この世界は、物理的には、窓も何もない小さな部屋です。
この世界には、精神的な『控え室』が隣接しています。
この世界には、『切断』『元凶』『中立』という三つの対立軸があります。(これを『属性』と呼びます。詳しくは属性の項で)
この世界には、『連鎖』という現象が存在しています。(詳しくは連鎖の項で)
この世界は、『世界の中心』と呼ばれる何者かを中心に回っています。(詳しくは肩書きの項で)
この世界には、『人間』『ドッペルゲンガー』というニ種類の知的生命体が存在します。(詳しくは種族の項で)
・連鎖
この世界には、連鎖という現象が存在します。
連鎖とは、世界で誰かが死ぬと、新しい別の誰かが登場するという法則です。
その、登場する誰かは、原則的には、同じ属性で控え室に待機している者の内、優先度が最も高い者です。
死んだ者は、その者の徳に応じた期間の休息を経てから、控え室に送られます。
つまり、一度死んだ者でも、後に復活することが出来ます。
・種族
この世界には、『人間』『ドッペルゲンガー』という二種類の知的生命体が存在します。
人間とドッペルゲンガーは、互いに表と裏の関係にあります。
ドッペルゲンガーは、比較的復活に時間がかかりますが、特殊な能力を持っています。
人間は、特殊な能力を持っている者は少ないですが、復活までの時間は短くて済みます。
また、ドッペルゲンガーを殺すと、殺した者の『裏に当たる者』が、控え室に現われます。
つまり、人間がドッペルゲンガーを殺すと、その人間と同じ顔のドッペルゲンガーが、ドッペルゲンガーがドッペルゲンガーを殺すと、殺したドッペルゲンガーと同じ顔の人間が、控え室に現われることになります。
なお、『裏に当たる者』は、そのキャラクターと同じ顔をしていますが、性別は異なる場合があります。
・肩書き
この世界に存在する者は、皆、肩書きを持っています。(例えば『世界の中心』『引きがね』『禁断』『魔物』などです)
肩書きは、同じ名前を持つ者を区別するために使われますが、大体の場合、それはその者の役どころを表している場合が多いので、注意が必要です。
『切断オリジナル』『元凶オリジナル』『世界の中心』という三つの肩書きを持つ者は、最強とも言える戦闘能力を持っています。その代わり、これら三つの肩書きを持つ者だけは、復活出来る回数が決まっています。
『世界の中心』は、文字通りこの世界の中心となる者です。彼(彼女)がこの世界を好きなように動かしているとか、彼(彼女)がこの世界自体の存在を支えているとか、諸説はいろいろありますが、その正体は未だにはっきりしていません。彼(彼女)の役どころがわかるかどうかは、あなた次第です。
また、肩書きは変化することがあります。その時は、ステータスの『履歴』の項をご覧下さい。
・属性
この世界には、『切断』『元凶』『中立』の三属性があります。
『切断』は、この世界に存在する『連鎖』という現象を『切断』することを目的としています。連鎖が切断され、誰かが死んでも、他の誰かが登場しなくなったら『切断』側の勝利です。
『元凶』は、この世界に存在する『世界の中心』を探し出して抹殺することを目的としています。『世界の中心』が復活できなくなるまで殺せば『元凶』側の勝利です。
『中立』は、目的が上記の二つ以外の者の集合です。個人的な目的をもった者や、目的を持たない者、『切断オリジナル』と『元凶』の考えを併せ持つ者などが存在します。勝利条件は特殊で、一貫性がありません。上級者向けです。
裏切りによって、属性が変わる者もいます。ただし、肩書きが『切断オリジナル』『元凶オリジナル』の者は、属性を変えることは出来ません。
・ ステータスの見方
ステータス画面の見方は以下の通りです。
名前……キャラクターの名前です。『 』内は、現在の肩書きです。
属性……キャラクターの属性です。『切断』『元凶』『中立』のどれかです。
種族……キャラクターの種族です。『人間』『ドッペルゲンガー』のどちらかです。
復活期間……キャラクターが死んでから復活するまで要する時間です。一~一〇までの十段階で、数字が大きいほど長い時間がかかります。
優先度……控え室にいる時、連鎖してこの世界に戻るための優先度です。一~一〇までの十段階で、原則的には同属性の中で数字の大きな者が世界に戻って行きます。
履歴……過去に肩書きを変えている者は、昔の肩書きが表示されます。
主な裏キャラクター……そのキャラクターの裏に当たるキャラクターの名前が表示されます。人間であればここにはドッペルゲンガーの名前が、ドッペルゲンガーであればここには人間の名前が表示されることになります。
限界復活回数……『切断オリジナル』『元凶オリジナル』『世界の中心』の肩書きを持つ者は、復活する回数が決まっています。例えば、ここに二と書いてあれば、あと二回復活することが出来ます。ゼロになった状態で死ぬと、復活が出来ません。
・ シナリオ
このゲームには、以下の四つのシナリオが用意されています。
①『切断』篇
あなたは、人間の『切断オリジナル』ルト(名前変更可能)を始めとする、『切断』側のキャラクターを動かして、連鎖の切断を狙います。うまくいけば二時間ほどでクリアできますが、均衡状態に陥ると、ゲームオーバーになることもクリアーすることもなく、かなりの時間が過ぎることになりますので注意が必要です。初心者向けですが、このシナリオから真実に近づくのはかなり難しくなっています。エンディングは三つあります。
②『元凶』篇
あなたは、人間の『元凶オリジナル』バルバロッサ(名前変更可能)を始めとする、『元凶』側のキャラクターを動かして、『世界の中心』の抹殺を狙います。運が良ければ一瞬でクリアできますが、ゲームオーバーにもなりやすく、敵の動きに注意が必要です。中級者向けです。エンディングは四つあります。
③『中立』篇
あなたは、人間の『引きがね』木村(名前変更可能)や、ドッペルゲンガーの『狩人』ハント(名前変更可能)などの中から一人を選んで動かし、それぞれの目的を果たさせていきます。控え室でも行動を起こせる唯一のシナリオです。目的が二転三転するキャラクターもいて、かなり苦戦しますが、その分長く楽しめ、真実にたどり着けます。上級者向けです。エンディングは、キャラクターごとに二つずつあります。
④『傍観』篇
あなたは、人間の『傍観者』レイヨルドゥ公として、世界の動きを眺めていることが出来ます。観戦モードです。ゲームに行き詰まった時にやってみると、意外な真実が見えてくるかもしれません。また、この世界観になれていない方は、このシナリオを一度クリアしてみてからの方が、良いと思います。ゲームオーバーになることはありませんが、その代わりに、エンディングもありません。
出て来る敵は毎回変わるので、同じシナリオでも何回も楽しめます。
登場するキャラクターは最大で二五五人までです。それ以上は、『裏に当たる者』が登場しなくなります。
何回もやっているうちに、分岐が増えて行きます。そのため、一回目のプレイでは到達できないエンディングがあります。
どうしてもバッドエンドにしか到達できない場合は、気分を変えて、他のシナリオをやってみましょう。思わぬ収穫があるかもしれません。
終わりに
このゲームに関するお問い合わせ先は、同封の『問い合わせ先一覧』をご覧ください。
なお、ゲームの攻略に関するご質問には、一切答えることは出来ません。
また、このゲームのキャラクターを無断で転用することは著作権法違反になります。
無限を呼ぶ無限 ゲームスタート
シナリオ④『傍観』篇
無限を呼ぶ無限その一
登場人物ステータス
名前:『引きがね』木村
属性:中立
種族:人間
復活期間:四~五
優先度:三
履歴:なし
主な裏キャラクター:なし
名前:『元凶オリジナル』バルバロッサ
属性:元凶
種族:人間
復活期間:三~五
優先度:七
履歴:なし
主な裏キャラクター:『悪夢』シャルロッテ、『ドッペルゲンガー始祖』バルバロッサ
限界復活回数:七
名前:『切断オリジナル』ルト
属性:切断
種族:人間
復活期間:一~四
優先度:四
履歴:なし
主な裏キャラクター:『悪夢』シャルロッテ、『世界の中心』シャルロッテ
限界復活回数:六
木村は、扉を開けた。
バルバロッサは、扉を開けた。
ルトは、扉を開けた。
三人は、そうして、この世界に入ってきた。
彼らの入ってきた扉は、閉まるや否や壁と同化し、見えなくなってしまった。窓も何もないこの部屋は、明かりもなく、それでもなお明るく、静かな白い壁面をさらして、厳かに侵入者達を見守っている。
三人は、部屋の中央で、対峙した。
木村が、まず最初の一声を放った。
「すまないが、ここがどこか知っている人はいないか? 道に迷って困っているんだ」
木村はスーツ姿。短めの黒髪と鋭い視線が特徴的な、若者である。しかし今、その顔は歪んでおり、本当に困ったような表情を作りだしていた。
ルトが、一瞬返事に詰まってから、木村の目を見て返事をする。
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