Scene40
雷撃と突風のせいで、ポジション取りは、さっきよりも難航した。しかしそれでも、恭一は最速で最適の場所とタイミングを見出した。
準備は、基本的にはさっきと同じだ。だが、決め手はここからだった。恭一は、龍を出した。今までで最も巨大で、長い龍だ。
恭一は今までここまでの規模で能力を使ったことはなかったが、やるしかなかった。ここが踏ん張り時だ。
その龍は、風船オバケの周囲を、大きく囲んだ。ちょうど、葵と南波がいる外側だ。
「タイミングが来たら、この龍を足場に、踏ん張れ!」
『なるほどね……』
ヘッドセットから、南波の声がする。
「さっき、葵が地上から飛び出た時、受け流されたが、勢いが段違いだったような気がしたんだ。だからしっかりと足場がある場所なら、威力がもっと出るはずだ」
恭一は、その時点ですでに目覚めていたのだ。
『何だ、もっとすごい秘策があると思ったのに、こんなことかぁ』
「おい、そこ、黙れ」
『そうだよ、葵ちゃん。何も画期的な方法だけが、物事を突破することができるとは限らない。地味なことでも、何かを変えれば、結果も変わるかもしれない』
「うん。やっぱお前なんか偉そうだな」
恭一の声色がとてつもなくピリつく。
『ほら、二人ともケンカしない。もうすぐでしょ、タイミングは』
「あと五秒だ」
『うそでしょ?』
二人は再び飛び出した。今度は、しっかりと龍の背を踏みしめていく。やはり、すごいスピードが出ている。
そのまま二人は突っ込んだ。風船がまた変形していく。その様子を見て、恭一はほくそ笑んだ。これならいけるぞ。
ッップバーーーーーーン!!!!
次の瞬間、風船がついに破裂した。だいぶ離れているはずなのに、とてつもない風圧が恭一を襲う。
ヘッドセットからも二人の悲鳴が、わずかながら聞こえてくる。しかし、助けに行くことはできそうになかった。恭一は目の前が真っ白になった。
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