現在 葵 戦闘&負のエネルギー返還中
Scene29
葵の頑張りの結果、天国はもう最初とは比べ物にならないくらい小さくなっていた。
しかし、目の前の風船オバケは弱くなる気がしない。今までと同じく天災クラスの攻撃をどんどん仕掛けてくる。恭一も、もう限界に近付いていた。
「おい、どうすればいいんだよ、これ」
戦いはいったん龍に任せて、恭一は葵の横に倒れ込んだ。しかし具現化させた龍を操っているのも恭一だから、これで体力が回復するわけではない。
「ねえ! 恭一、あれ!」
葵が恭一を無理矢理起こして、とある方向を指さす。もともと霧がかかっていたそこに、南波がうずくまっていた。動く気配がない。
「あそこめっちゃ危ないんじゃない?」
霧がかっていた部分はずっと戦場にはなっていなかったが、今やそこも十分攻撃が当たる可能性があった。
「クソ、めんどくせえ!」
恭一はばっと起き上がり、葵の手を掴んで走り出した。龍がそれに応じるようにこちらに戻ってくる。風船オバケに対して、最後とびっきりの火炎を放つのを忘れずにだ。
恭一と葵はそのまま龍の背に乗り、南波の元まで地面スレスレで最速で飛んだ。そして具現化させた超ゴツいマジックハンドで南波をすくい上げる。
「会えたのか?」
恭一が南波にそう訊いた。
「ちょっと、恭一!」
葵が恭一をたしなめた。南波が明らかに落ち込みきっているのを見て取ったからだ。
「会えたには会えた」
ややあって、南波が口を開いた。
「だが、お前の望む形じゃなかったようだな」
恭一はズケズケとそう言った。遠慮の欠片もない。
「ちゃんと要件定義書書いて設計しないからそうなるんだ」
恭一が、今度は冗談めかしてそう言った。
「あれは僕が何とかする。責任は取る」
そんな恭一を無視して、南波が立ち上がった。目の前にいる風船オバケを見据える。
そして背中にジェットパックを具現化させて飛んでいった。すでに臨戦態勢だ。両手に大量の重火器を抱えている。
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