第6話 Cランク依頼と不死者

ーー 冒険者Cランクの依頼。


Dランクでそこそこ依頼をこなした俺は、ランクがCになった、すると冒険者ギルドから依頼が来た。

Cランクから一定の依頼を受けることが義務付けてあるのだ。

今回は警護依頼と大型魔物の討伐依頼だ。

普通はどちらか一つのようだが、Bランクようについでに受けとけとサブギルマスが指示したようだ。


目的地はカブール子爵領への商隊の護衛と、中央大森林の指定の魔物を狩る依頼だ。

商隊は馬車で5台の中規模の商隊、同行の冒険者はスノーを入れて6人。


事件が起きたのは、手前のタートル子爵領に入ってだ。

小さな森があるのだが、そこに盗賊が隠れており森の道を塞ぐように襲ってきたのだ。

上位冒険者であるアレフは、他の冒険者に指示しながら対応しようとしたところで、その冒険者が盗賊の手下だと判明した。

4人の盗賊の手下の冒険者は、アレフとスノーが抵抗しないと勝手に思い油断していた。

「お前こそ抵抗するなよ。この数じゃ無駄だぜ。」

と言う盗賊の手下の冒険者を、一瞬で距離を詰めると首を斬り飛ばした。

その後は裏切り者の冒険者を一人残らず切り倒すと、スノーに後ろを任せて前の盗賊を殲滅しに向かった。


スノーは魔法が使えた、後方の盗賊は数の多さに油断しきっている。

スノーのエアー・カッターが3人の後ろ押さえの盗賊を切り刻む、動けなくなった盗賊のトドメを刺して回るスノー。


それを確認しながらアレフは、走りながら盗賊を斬り飛ばして進む。

一番後方に盗賊のカシラと思われる男が立っていた。

「あいつがカシラだな。」

と呟きながら真っ直ぐに近づくと、慌てて剣を抜く男の首を斬り飛ばした。

その後は乱れ騒ぐ盗賊の首を斬るだけの単純な作業だった。

およそ20人の冒険者を斬り捨てた、アレフは商隊の責任者に

「怪我はないか?このまま進むぞ。」

と言うとまだ震える商人達を警護して目的地のカブール子爵領に到着した。


到着後アレフは、ギルドに向かい裏切り者の冒険者の冒険者証を取り出し

「こいつらは盗賊の手先で、ここに向かっていた商隊の警護に紛れ込んで、タートル子爵領の森で襲ってきた。盗賊と裏切り者の冒険者は全て殺したが、他に仲間がいないとも限らない。王都のギルドに連絡して確認してくれ。」

と伝え依頼完了の報告をした。


その後宿に一泊した後スノーを連れて森に入った。

「どんな魔物を依頼されたの?」

「ミノタウルス、ワイバーン、バジリスクと書かれてある。」

と答えると

「それを一人で倒したら貴方Aランクよ。」

と言われ何か裏がありそうな気がしてきた。


森で魔物を狩ること3日、目標の魔物は全て倒し収納した。

帰ろうとしてアレフは、突然身体の芯が沸るような熱を感じた。

スノーをその場に残し気配のする方に進むと、そこに居たのはドラゴンだった。

体長30mほど背中に翼があり長い尻尾、目が合った!

突然ドラゴンがアレフにブレスを吐いた。

逃げる暇なくブレスを浴びたアレスは、激しい痛みに苦しみながらも耐えきった。

「どうして俺はあれが耐えられるんだ。」

身体は着ていた革鎧や服ブーツに至るまで消し飛んでいた。

指輪は無事だ、アレフは刀を取り出すとドラゴンに向かって走った。


ドラゴンもまさかブレスを浴びて無事な人がいるとは思いはしなかったのだろう。

油断をしていた。

まともにアレフの斬撃を頭に受けてしまった。

眉間から顎下まで刀の刃が抜ける、更に奥に踏み込んだアレフは首を深々と切り裂いた。

攻撃の痛みに暴れ出したドラゴンが、再度ブレスを吐こうと身構えた時に首が切断され、地面に落ちた。


深く息を吐くアレフの身体に物凄いエネルギーが入り込んで来た。

「ググーッ。」

息もできない状態が数分続き、気づいた時には側にスノーが来ていた。

「大丈夫?アレフ。怪我はないの?ドラゴンと戦ったの?」

と聞かれたが、答えることができなかった。

それはドラゴンの知識と能力と魔力がアレフの小さな身体の中に取り込まれたからだ。


そして自分が死ぬことのない「不死者」であり、今回の力でほぼ不老の能力を得たことを知った。


ーー 俺は死ねない男、「不死者」だった。



指輪の中から新しい服や革鎧を身に付け、ドラゴンの死骸を収納した。

疲れた顔のアレフを心配しながらスノーが先導する。

アレフは今、身体から溢れ出す魔力を抑えるために、全力でコントロールをしていた。

思わず漏れ出る魔力は付近の生き物を、縛り上げるように抑えつける。

スノーも時々歩きが止まるし冷や汗をかいている。


森を出る頃には、何とか抑えることができるようになった。

「ありがとう、もう大丈夫だ。」

と言うアレフを心配顔のスノーが

「私は決して貴方を見捨てないわ、貴方が魔王になったとしても。」

と言ってくれた。


なんとか街に戻ったアレフ達は、宿を取り3日ほど宿泊した。

体調の整ったアレフは、ギルドに向かい盗賊の件を確認した。

「アレフさんですね、王都ギルドから連絡が来ました。アレフさんへの昇格試験の依頼は別物で、ギルドのサブマスターが盗賊と繋がっていたようです。今残党狩りが行われています。」

と言う回答だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る