第2話 現世では
私、悪魔の黒田 ハルは、天使の星野 伊月(ほしの いつき)が嫌いだ。
理由は簡単だ。わたしたちは人間の時同じ会社の同僚でライバル同士だった。
器用で、愛想がよかった星野には、よく仕事を横取りされたものだ。
それだけではなく、周りからの評価も高く、顔がいいこともあって会社では重宝されていた。
なにかと人間の時も会社であれやこれやと絡んできて、正直、嫌いなタイプだった。
こうやって、死んだ後もまさか、ライバル同士で何かと絡まれるなど、思っていなかった。
「本当に、なんでだ、、、」
会社から自分のアパートに帰り、そう独り言をつぶやく。
死んだ時のことは今でも忘れない、
「あんた、1人の人間を死ぬほど不幸にしてるね?あんたは悪魔になるのがいい!」
そう社長からスカウトを受け、自分は悪魔になった。1人の人間を不幸にしたくらいで悪魔なんて、、、と思ったが、なんだか天使になるイメージもなく、諦めて了承した。
そして驚いたのは隣に星野が立っていて天使の勧誘を受けていたことだ。
現世では星野は、ニコニコとした笑顔で告白してきた女性を振ってきたものだ、きっと悪魔になるものだろうと思っていたが予想は外れたらしい。
まあ、悪魔になると同じ会社になとてしまうのでかえって、それはよかったのだが。
まさか、星野も同じタイミングで死んでいるとは思わなかった。
これが自分達の現世だ。
今は、自分は悪魔、星野は天使としてやっている。
とは言っても、自分にできるのは悪魔のとしてちょっとした、悪い習慣を助長させるくらいだが。
遅刻しそうな人の二度寝を促したり、ダイエットしている人にお菓子を食べるようにしたり、そんなちょっとしたことだが。
悪魔は天使のものになりたくない! @umi9501
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