悪魔は天使のものになりたくない!
@umi9501
第1話 悪魔の日常
おはようー!今日も頑張ろうね!」
「ああ、おはよう」
同僚と軽い朝の挨拶を交わす。
ここは、悪魔が働く会社、イービル商事だ。
私、黒田 ハルは、人間界で事故で亡くなったあと、悪魔として生まれ変わった。
基本的に人間は死ぬと悪魔になるか、天使になるか別れる。
天使の素質を持つものは天使に、悪魔の特性を持つものは悪魔へと勧誘される。
そして、悪魔と天使の会社が存在し、悪魔は悪魔の会社へ天使は天使の会社に入社する。
自分は23歳で亡くなった。
「やあ、今日も、黒髪が素敵だね!」
そう言ってきた相手を無言で睨みつける。声をかけてきたのは悪魔のライバル会社である、天使の会社で働く星野 伊月(ほしの いつき)だ。
「星野さん、来てたんですかー」
「お菓子いりますー」
同僚たちが何事もないように声をかける。
悪魔の会社で天使がいると騒ぎになりそうなものだが、あまりにも日常茶飯事で来ているため誰もそこまで関心を示さない。
「なんのよう?」
相手を見ないように、パソコンに目を向けながら、内心イライラした態度で仕事をする。
「なんのよう、て君に会いにだよ」
星野の金髪が照明にあたって、キラキラ光っている。
内心、うんざりした。またか。
「ハルさんて、ボーイッシュな感じで黒髪が綺麗ですよねー」
同僚が先ほどの言葉に同意する。
そう大体星野は、ハルに会いにこの会社に来ており、何かと絡んでいる。
社内では、いつもの光景に、周知の事実となっている。
「社長いいんですか?天使が悪魔の会社にいて!スパイかもしれませんよ!」
耐えきれず、勢い込んで社長に詰め寄る。こんなこといいはずがない。周りは馴染んでしまっているようだが、自分は納得いっていない。
「いいじゃないか、害はないんだし。ほっとけばいいだろ?」
ロングの髪が似合う女社長は、そう興味なさそうに言うと、目の前の資料に目を向け直した。
バッサリと切り捨てられ、ガッカリと肩を落とす。
「今日の帰り、一緒に帰らない?」
「帰らない」
しつこい星野にそう言い放つ。
「そっか、残念だな」
星野は残念そうにしながら、今日は帰って行った。
「はぁ」
ため息をつきたくなる。こんなことが毎日なのだから。なんとかしたいものだ。
星野に絡まれながら、それを無視して仕事をこなす。これがいつもの日常だ。
本当に毎日毎日そんなに天使、て暇なんだろうかと思いながら一日を終えた。
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