死体パズル
第22話
依頼人はソファに座るなり、俺と
「本当にアンタたちが
「……はァ、一応まァそうですが」
正確には事件を解決したのは俺の隣に座っている、見た目は小学生男子の女子高生探偵、小林
ちなみに西瓜殺人事件というのは、今年の夏に小林の通う高校で起きた事件だ。犯人によって自殺に見せかけた殺人トリックを、小林はいとも容易く見破ったのだった。
「アンタたちに解いて欲しい謎があるんだ」
依頼人はそう言って、グラスに入ったウーロン茶を一気に飲み干した。
「俺は
バラバラ殺人という言葉を聞いて、俺は反射的に顔を顰める。反対に、小林は顔を紅潮させ、鼻息が荒くなっていた。
「ほゥ、あの未解決事件として有名な」
「知ってるんなら話が早い。俺はあの事件が何だったのか、どうしても知りたい。犯人が誰なのか知らないままでいることに耐えられないんだ」
依頼人、売野は真っ直ぐ俺を見てそう言った。……いや、俺はその事件のこと、よく知らないんだけど。
「えーと売野さん、その事件は今も警察が捜査をしているんですよね? だったら俺たちに頼むよりそちらに期待した方が……」
すると売野はテーブルを殴りつけるように叩いた。
「何を言っている、警察に解決できないからアンタたちに頼むんじゃないか! アンタたちなら警察がお手上げの事件の謎も解いてくれるんだろう?」
……うーむ、厄介なことになってきた。
俺は殺人事件というものが嫌いだ。それもバラバラ殺人などという、人を人とも思わないような事件は特に嫌いだ。俺が探偵になったのは、そんな物騒な事件と関わる為ではない。
俺が探偵になったのは、テレビの再放送で観た
ミステリマニアの小林は喜んでいるようだが、俺は正直気が進まない。どう言って断ろうか?
「条件が二つあります」
俺が何か言うより早く、小林が言った。
「一つは、事件について
「……おう、わかったよ」
「もう一つは、真相が貴方にとってどんなに不都合なものであっても受け入れること。その覚悟が貴方にありますか?」
小林は挑むように依頼人を見つめている。
「……この二年、ずっと考えてきたんだ。もしかしたら仲間の中に殺人犯がいるかもしれないってな。今更、真実を知るのは怖くねェ。何も知らないままこの先ずっと生きていくことの方が、俺は怖ええよ」
「……いいでしょう。それではお話を伺いましょうか」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます