第18話
「
図書室に
多分、小林さんが電話した相手だろう。背は高いが、ひょろりとして少し頼りない印象だ。
「遅い。遅過ぎるぞ
「あぁん? 立場がわかってねーのはお前だ、小林! 俺はお前の雇い主、お前は俺の助手なの。ドゥー・ユゥー・アンダースタン?」
「発音が良すぎてよく聞き取れなかった。大きな声でもう一度」
「ケツから手ェ突っ込んで、奥歯ガタガタいわせたろかい!!」
両者睨み合い。というか、壮絶なメンチの切り合い。
「……ふん、それだけ憎まれ口が叩けるなら平常運転のようだ。急いで駆けつけたのに、心配して損した」
「お前に心配される筋合いなどない」
そこで小林さんの雇い主、鏑木さんは漸く私の存在に気が付いたようだ。
「……オホン、お見苦しいところをお見せしました。わたくし、鏑木探偵事務所の所長、鏑木
鏑木さんは私に名刺を差し出した。
「……初めまして、
「電話で話した依頼人だ。依頼内容は裏庭の
「小林君に鏑木君、今はそれどころではない」
そう言ったのは、夏なのにトレンチコートを着た鷲鼻の刑事だった。
どうやら小林さんたちとは旧知の仲らしい。
「死んでいるのは二年生の
「……警部、それってどんな状況なんです?」
鏑木さんが刑事に質問する。
「音無可奈の証言では突然、吉岡常生が音無に襲い掛かり、窓際まで追い詰めたところで斧で自分の頭をかち割った、ということらしい」
鏑木さんがチラリと小林さんを見る。
「間違いない。大崎も吉岡が自分で自分の頭に斧を振り下ろした瞬間を見ている」
「今、
「……だったらこれは、自殺ということですか?」
「それは違うな」
小林さんはそう言って不敵に笑う。
「これは殺人事件。それも、
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