神ちゃま!

おむ

第1話

 オンボロアパートのとある一室で、鼻歌まじりにフライパンに入った具材を上手に振って調理をする幼女(エプロン姿)

 

 「よしっ!」


 幼女は火を止め、踵を返して走りだす(フライパンを持ったまま)


 「出来たよー!あっ!」


 幼女は床に落ちていた電マ(マッサージ用!)に引っかかり、前のめりに倒れていく。その際、幼女の手にはフライパンは無く、前方に向かって飛んでいく。

 フライパンの中に入っていたスライム状の何かがフライパンから旅立ち、オンボロアパートには合わない天蓋付きのベッドに眠る幼女(part2)に思いっきりぶっかかる。


 「ッ!!!あっつっ!!?!!!!!!」


 顔にかかった白いスライムをベッドの毛布で一生懸命拭き取る幼女(part2)

 それを助けもせずに見る幼女(エプロン姿)

 だいぶ熱さも引き、落ち着きを取り戻した幼女(part2)は幼女(エプロン姿)を睨む。


 「フライパンを持ったまま歩くなって私、言いましたよね!何のために盛り付けようの皿を買ったんですのっ!」

 「そうだったねー!皿買ったの忘れてたー!」


 えへへと笑いながら、頭を掻く幼女(エプロン姿)

 「それと!」と明後日の方を向き、


 「私を(part2)という変な二つ名をやめなさい!二つ名を付けたいのであれば、(気高きハーデス様)とお付けなさい」


 赤い髪の幼女はキメ顔でそう言った。


 「それよりも…あなた!私のベッドを汚しやがりましたわね!!!なんですのっ!この白いスライムは!!!」

 「実家から届いたパムの液体だよ!新鮮だよ!」

 

 パムパムと蠢くスライムは、開いていた窓から翼を生やして飛んでいく。


 「あ!朝ごはんが!」


 エプロン姿の金髪の幼女が追いかけようとしたところ、赤髪の幼女が止めに入る。


 「お待ちなさい!あなたが行くと面倒臭い事になりますのっ!あれは諦めますわよ!」

 「朝ごはんだよ!このままだと朝ごはんないんだよ!?」

 「窓を開けていた私にも多少なりとも責任がありますから、私の蓄えている非常食を差し上げますわ(パムとかいうスライム食べずに済んで良かったですわ…)」

 「え?!はっちゃん食べ物を私たちに内緒で隠していたの!?」

 「ひ、人聞きが悪いですわ!緊急時のために備えていましたの!」


 そう言って、ベッドの隙間から長細い物を取り出す。


 「チョコバット二本!(ひみつ道具を出す感じに)」

 「おー!(目キラキラ)」

 「さぁ!ポセイドンを起こしてきなさいっ!」

 「分かった!」


 急いで呼んでこようと金髪幼女が振り返った先に青い長髪(ウェーブ気味)の幼女が透き通るような白い肌身を晒して立っていた。


 「話は…一通り……聞いてた…」

 

 髪や肌から水滴を垂らしながら近寄る青髪の幼女を赤髪の幼女が止める。


 「床が、濡 れ て る !!!拭いてから来なさいっ!」



 数分後…



 三人の幼女は輪になるように畳に座り、真ん中に置かれたチョコバット二本を見つめていた。

 沈黙が続く事に痺れを切らした金髪幼女が口を開く。


 「チョコバット、二本しかないよ!」

 「そうですわね…」

 「一人…飯抜き……」


 再度やってくる沈黙。


 「と、とりあえずペナペナランランシュンシュンMX-1やります?」

 「うん!」

 「絶対…勝つ……」


 そう言って、三人の幼女は立ち上がる。

 異様な空気の中、始まる。


 「「「ペナペナランランシュンシュンMX-1!!!」」」


 熾烈しれつな勝負の中、勝ったのは青髪の幼女だった。

 金髪と赤髪の幼女は意識を失い、畳に顔面から倒れ、青髪の幼女は額から血を流し、畳に膝をつく。


 「あと…少しで……負けてた…」


 青髪の幼女は震える手でチョコバットを手に取り、封を開けてチョコバットを食べる。


 「これが…勝利の……味…」

 

 青髪幼女が美味しく食べる中、二人の幼女は目を覚まし、立ち上がる。

 

 「ゼウス…提案がありますわ…」

 「何?はっちゃん…」

 「この残された一本を二人で奪い合うのは得策ではありませんわ。敗者二人、仲良く一本を食べませんこと?」

 「勝負から逃げるの?はっちゃん」

 「……私は、ギャンブルはしない主義なので。だけど、この提案を飲めないのであれば、戦いますが」


 金髪幼女のゼウスは考える。考えた結果、赤髪幼女のハーデスの提案を飲む。


 「いいよ。私もペナペナランランシュンシュンMX-1をもう一度する力は残ってないし…」

 「決まりですわね」


 ハーデスはチョコバットの封を開ける。

 

 「私はこっち側から食べますから、あなたはそっち側からお食べなさい」

 「あ!これよく見る漫画で見た!ポッキーゲームでしょ!やってみたかったんだよね!」

 

 二人はチョコバットの端を口に含み、食べ始める。

 

 (フフフ、おバカさんですわね。まだ勝負は終わってませんことよ。高速でチョコバットを食べて、ゼウスの食べる分を少なくします…って、ゼウスに舌を食べられてる――ッ!!!)


 ゼウスはチョコバットの九割を食べ、ハーデスの舌までも食べようとしていた。


 「ちょ!ゼウ、…す!!!それ、私のし、舌!!!!…すわ!!」

 

 はたから見たら、幼女二人が濃厚なディープキスをしているように見えなくもなかった。

 そんな二人を大事そうにチョコバットを齧って見守る青髪幼女のポセイドンだった。

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