第10話:講習ですが、人形が講師でもいいですよね?

 「サーリアさん…ちょっといいかしら?」

 「こんにちは。エミリーさん。」

 冒険者ギルドの受付さんですね。先日はお世話になりました。

 「また人形を貸して欲しいの…」

 「また、流行病ですか?時期は過ぎたと思ったんですが…」

 「違うのよ…新人教育をしようと思って…」


 どうやら冒険者一年生を集めて、冒険者のイロハを教える講習会を開くのだそうです…


 「でも、そんな大事なものにうちの娘を使ってもいいのですか?」

 「ええ、かえってその方がいいの…上級冒険者は雇うのに結構な額がいるし、中級冒険者は癖の強いのが多いの…」

 「それは大変ですね…」

 それで癖のないうちの娘をってことですか…


 「どんな娘をお貸しすればいいですか?」

 「そうね、簡単な武器の扱いと素材の収集。魔物と出くわしたときの対応の仕方なんかを教えて欲しいの。」

 「それって、かなり難易度高いですよね…」

 「だって、サーリアさんの所の娘なら大丈夫って信じてるもの。」


 そんな言い方ずるいですよ…なんとかしないといけないじゃないですか…

 「何日位の予定ですか?」

 「森で一晩キャンプする予定…一応ギルドの職員も1人同行するわ…どちらかというと事務方で薬草とかの知識専門ね…」

 「そうすると、2人位の貸し出しですか?」

 「そうね、出来れば3人貸して欲しいわ…」

 「戦闘の出来る娘だと高いですよ?」

 「戦闘職は1日金貨3枚だっけ?」

 「ええ、ですから3人だと2日で金貨18枚ですよ。」

 「15枚にならない?」

 「今度、魔物の素材安くわけてくれるならそれで手を打ちますよ。」

 「わかったわ。1割ほど安くするからそれでいいかしら。」

 「はい。それで、いつからの貸し出しですか?」

 「5日後なんだけど、大丈夫かしら?」

 「わかりました、では5日後にギルドに向かわせますね。朝イチで良かったですか?」

 「うん、早めでお願い。」




 さてと・・・誰を向かわせましょうか…森の中で1泊するようなので、シルヴィは絶対ですね…

 あの娘はエルフですし、森の中でしたら色々解ることが多いでしょう。

 次は魔法使いもいた方がいいでしょうか…そうすると、フェオドラですね…狐人きつねびとですが魔法を使う子がいるのはいいですからね。


 あとは…エルフ、狐人きつねびとときましたから、人族ですね…ケティか、デニサかですね…シルヴィと仲が良さそうでしたからケティにしましょう。



 「さぁ、3人とも軽くメンテナンスをしておくわよ。」

 『『はい、マスター』』

 『ふぁい…』

 フェオドラ…眠たそうですね…寝てましたね…あなた達もそれなりに性能がいいですからね、居眠りをするなんて他の人形では考えられません…性能の良い娘に限って居眠りをするのです…理不尽です…



 「戦闘はないと思いますが、関節のチェックと外皮のチェックをしておくわよ。」

 『『『はい。』』』

 フェオドラも目を覚ましたようですね…

 ケティの右腕の関節が緩いですね…調整が必要ですね…交換までは必要なさそうですが念の1度分解清掃をしましょう。

 「ケティ、あなたは右腕に不調があるようなので、念の為右腕を外しますよ。」

 『痛いのは嫌だよ…』

 「痛くないですから…」

 本当に出来の良い娘は人間っぽいですね…あなた達に痛覚はなかったはずですが…


 シルヴィとフェオドラは大丈夫そうですね…朝まで頑張れば組み直しも出来るでしょう…

 あとは2日位かけて慣らしですね。いきなり動かすのはよくありませんから。軽い素振りから、デニサに相手をして貰えばいいでしょう。あの娘もケティと同じ剣士ですからね。




 「それじゃあ、気をつけて行ってくるのよ。」

 『『『はい、マスター』』』

 うん、3人とも元気に出ていきましたね。ちゃんと仕事をこなしてくれればいいですが…ミリーと違ってやるときはやる娘なので大丈夫でしょう。


 別にミリーがやらない娘ではないのですが…

 『かぁさま…みんなはもう仕事に行ったの?』

 あなた、パジャマ姿でなんですか…寝る必要ないでしょう…本当に人間味のある娘ですね…



今回の収入

戦闘用ドール…金貨3枚

 貸し出し 3体 2日

 割引…金貨3枚


合計 金貨15枚


 後日しっかりと買い物をしました。金貨3枚分以上の割引をして貰いましたよ。

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