第85話 この声が届くように
「さて、サクラちゃんはどんな選択をするのかしら」
サクラの様子を見ていたソナタがフフッと微笑み独り言を呟きノイズを見る。ノオトとリリが二人の様子を見ようと視線を向けると、リリと目が合ったソナタがまたフフッと微笑んだ
「リリ、オンプとリズムを呼んできて。部屋には入らないようにとも伝えてね」
ソナタの言葉を聞いて、リリがノイズやノオトを見るとなく、すぐに禁書の部屋の入り口の方へと向かっていくと、今度はソナタがノオトを見て声をかけた
「ノオトちゃん、ノイズをこの部屋から出せる?魔力的に、ここにいてほしくないの。影響を変に受けても困るから」
「たぶん出れますが、でも……」
ソナタに返事をしながらノイズを見ると、一人サクラの様子を映す本を見つめていた。ノオトもつられるように本を見ると、サクラがノイズやミナモの周りをキョロキョロと見渡していた
「ねえ、声が聞こえない?」
サクラが首をかしげながらミナモに問いかける。すると、ミナモも辺りを見渡して首を横に振った
「いえ、全く。誰の声ですか?」
「ノイズの声だと思うんだけど……」
そうサクラが言葉を聞いてミナモが少し屈んでノイズの顔を見た。特に話したような感じもなく、ミナモがふぅ。と一つため息をつきながら立ち上がった
「話している感じも、術を使っている様子もありませんが……」
「じゃあ、モモが話しているのかな」
「いえ、モモに話す術は使えません。でも、モモに書かれた記録が話すことはありますね」
「じゃあそれかも、だってあの時のうたに似ている……」
ミナモと話をしながらまた周りを見渡しはじめたサクラ。ミナモもつれられて辺りを見渡す
「うたが聞こえるですか?」
「うん、ノイズのうたが……」
ミナモに返事をしながら目を閉じるサクラ。聞こえてくるうたに耳を傾け、小さく息を吸い聞こえるうたを唄う。傍にいるノイズにも声が聞こえたのか、ゆっくりと顔を上げた。すると、ノイズの体についていた水が消え、手をゆっくりと動かすと、ノイズとサクラの間に消えていたはずのモモが突然現れた
「モモ!」
サクラが嬉しそうにモモを呼ぶとモモがノイズとサクラの周りをグルグルと動き回り、サクラがぎゅっと抱きしめると、ミナモが驚いた顔でサクラを見た
「術を解いていないのになんで……」
そうミナモが呟いていると、サクラが抱きしめていたモモをノイズに手渡すと、ぎゅっとモモを強く抱きしめると、サクラが微笑みノイズに話しかけた
「ごめんねノイズ。私と一緒に戻ろう」
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