第44話 いつもと変わらない姿で

 食堂から出てサクラの部屋までモモと一緒に戻ってきたリリ。サクラと離れてからずっと、そわそわと落ち着きなく動き回るモモに少しイラつきながらも、モモを掴んで表紙やページの中を見た

「どこも異常なさそうね」

 一通り確認し終えるとモモをパッと手放すと、今度はゆっくりとしたペースでふわりと浮かんだ

「この本はあなた?」

 リリの手には、サクラが抱きしめていた本が浮かんでいた。リリに聞かれたモモがその本を見るように動きがピタリと止まった

「あなたじゃないのね、じゃあ誰の本?」

 リリが聞くとパラパラとページをめくりはじめたモモ。ゆっくりとページをめくられる様子をリリが静かに見守る。最後のページがめくられるとゆっくりとパタンと本を閉じた。モモから何も情報が得られそうにないのに気づいてリリがはぁ。と一つため息をついた

「この本がサクラの本というのなら、あなたはもう一緒に居てはダメなのよ」

 リリがそう言うと、モモがその言葉を嫌がるようにまた騒がしく動きはじめた。バサバサとページの音をたてるモモにリリがまた、はぁ。とため息つきながら出した本をふわりと消した







 一方その頃、サクラと別れた後のノイズ達は、オンプがいると思われる施設へと空を飛んで向かっていた。もうすぐ施設に着く頃、ずっとメメからの視線を感じていたノイズが、少し立ち止まりノオトの肩に乗っているメメを見た

「メメ。私の顔に何かついてるの?」

「ええ、口元にご飯粒がついているわ」

 クスッと笑いながら言われて慌てて口元を触るノイズ。その様子を見てメメがまた笑う

「冗談よ。さっきまでのことを思い出していたの」

「ああ、そういえばサクラと居たんだよね。何してたの?」

「さあ。迷子というのが正しいのか、思い通りに動いているのかと言えば、そうなのかしらね」

「えー、なにそれー」

 曖昧な返事をされて不満そうなノイズ。ノオトも少し険しい顔でメメの話を聞いていると、地上から誰かが三人に向かって大きく手を振っていた

「みなさん!こっちです!」

 聞こえてきたオンプの声にノイズ達が振り向くと、オンプが三人の所にふわりと飛んで来た

「サクラさんは一緒じゃないんですか?」

「モモと家で休んでるよ。何か用事あった?」

「いえ、来てないのなら大丈夫です。それより案内します。来てください」

 ノイズに返事をすると、ふわふわと空を飛んで行くオンプ。その後をノイズも追いかけるように空を飛ぶ。ノオトは後を追いかける様子もなく二人の後ろ姿を見ている

「ノオト、行きましょ」

 動かないノオトに心配したメメが声をかけると、ノオトがメメの頭を撫でた

「サクラと何があったの?」

 呟くような声で聞くノオトが聞くがメメはすぐに答えることなく尻尾を大きく揺らした

「後で話すわ。今は怪我なく帰れるよう頑張りましょう」

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