こねくとノイズ

第43話 目を離した隙に

「サクラもって言うから、まさかと思ったけど……」

　食堂で夕御飯を食べるノイズに呆れながら言うノオト。その隣ではメメが大きなお肉を噛んでいる

「心配したけど、元気みたいだから安心ちゃってお腹空いたんだよね。ノオトは食べないの？」

「ええ、さっき一緒に食べたでしょ」

　メメが食べずらそうにしているお肉を切り分けながらノイズに返事をすると、切ったお肉の一切れをメメが食べる前にノイズがフォークで差し取った

「サクラも食べる？」

「いえ、大丈夫です……」

　ノイズの後ろでお肉を取られたメメが怒った顔でノイズを見ているのを見て苦笑いで断りながら手を振るが、ノイズがもう一個、切り分けたお肉を食べようと手を伸ばした時、メメがノイズの顔に両手を置いて止めようとするが、かわされて一切れ取られ食べられてしまった

「ちょっとノイズ！」

　美味しそうに食べるノイズを睨み叫ぶメメをノオトが抱きしめなだめる。そんな三人の様子を心配そうにサクラが見ていると、食べようと手元に置いていたデザートに付いていたイチゴをリリが食べた

「二人とも、ちょっといいかしら」

　イチゴについていたクリームを口許につけながらサクラとノイズに話しかけるリリ。サクラがクリームを見て、慌てて手元のデザートを見るとイチゴだけでなく、いつの間にか半分近くデザートが食べられ無くなっていた

「どこ行ってたの？ご飯無くなるよ」

　ノイズが食べられたデザートをしょんぼりと見つめるサクラに、新たなデザートを渡しながらリリに話しかけると、ノイズをちらりと見た後、サクラの顔の前までふわりと浮かんだ

「体調はどう？」

「えっと元気です……」

「そう、そのようね」

　サクラの返事を聞いてノイズが渡したサクラののデザートからフルーツを取ろうと手を伸ばすが、ノイズにペシッと手を叩いた

「そうそう、二人は今から仕事よ。オンプが今すぐ来いと言っていたわ」

　最初につまんだデザートの残りを食べながら言うとノイズが嫌そうな顔で食べ残していた野菜を食べた

「えー、他の人にお願いしてよ」

「無理ね。今は人手が足りないの。ノオトも怪我が大丈夫そうなら行ってきて」

　リリの言葉を聞いて、ノオトが心配そうにメメを見た

「私は大丈夫よ、急いで行きましょう」

　ノオトの肩に乗ってメメが言うと、ゆっくりと椅子から立ち上がり入り口へと歩きだしたノオト。慌ててノイズも後を追いかけるように椅子から立ち上がった

「ごめんね、リリと居といて。すぐに戻るから！」

　ダイニングの入り口で、ノイズがサクラに声をかけてすぐバタバタと足音をたてて行ってしまった。騒がしかった食堂が急に静かになり、サクラが不安そうにリリを見た

「モモ、来なさい」

　サクラの気持ちに気づきつつも気にせずモモを呼ぶと、ご飯で汚れないように隠れていたモモがサクラの側にそーっと音もたてず現れた

「ちょっとモモを借りるわよ。私もすぐに戻るから。ご飯を食べて待ってなさい」