第42話 帰り道は本が知っている

「でも戻るって帰るってこと?でも、どうやって帰ろう……」

「前に来たことがあるなら帰る方法も分かるでしょ?」

「でも、帰れたっていっても……」

 メメに聞かれて、目を閉じ思い出してみるが、あまり覚えないないサクラは困ったように当たりを見渡した

「あなたの魔術なら帰ろうと思えばすぐに戻れるわよ。ほら早く」

 早くノオトの所に戻りたいメメはサクラを急かすように尻尾を大きく揺らす。メメの気持ちに気づいたサクラが困った顔でまた辺りを見渡した

「でもまだ、うたが聞こえるけれど……」

「モモから聞こえていたのなら止まったんじゃないの?」

 サクラの周りに浮かんでいるモモをメメが見ると、バサバサとページの音をたてながら動きはじめ、サクラもモモを見て小さく顔を横に振った

「そうだと思ったけど、モモじゃなかったみたい」

「なら、どこから聞こえるの?」

「それは分かんないけど……」

「じゃあ急いでもっと声がする場所をさがしましょうか」

 そうメメが言うと、突然モモがサクラの上に浮かび立ち止まり、ページをゆっくりとめくりはじめた

「モモ、どうしたの?」

 不安そうなサクラの声に、メメも肩に乗ってモモの様子を伺う。パラパラとめくっていたページが止まり、そのページを開いたまま、サクラとメメの方にくるりと向けると、ページから小さな光が現れ、その眩しさからぎゅっと目を閉じた。すると、光がサクラの体を包むよう光が大きく広がり、体が眩しさで見えなくなると、モモがゆっくりと本を閉じはじめると、聞こえていたうた声も小さくなり、モモがパタンと本を閉じるとうた声も聞こえなくなった







「……痛い」

 ドスンと鈍い音と体の痛みで目が覚めたサクラ。ベッドで寝ていたはずが体は地面に落ちていて、少し混乱しながらゆっくりと体を起こすと、側に心配そうな顔をしたノイズやノオトがいた

「寝相すごかったね。体、大丈夫?」

「うん、だいじょうぶ……」

 ノイズに支えられベッドに座ると、メメがサクラの枕の上で、うーんと背伸びをしていた

「あれ?メメ、サクラといたの?」

「ええまあ、そんなところね」

 ノイズに返事をするとノオトの肩に乗り頬に頭を擦り寄せる。元気そうなメメを見てノオトがホッと胸を撫で下ろしていると、サクラの頭に本が一冊落ちてきた

「あれ?モモ……だよね」

「無事みたいだね。とりあえず良かったんじゃない?」

 モモがベッドに座るサクラとノイズの間に着くと、サクラのお腹がぐう。と大きな音をたてて鳴った。慌てて少し恥ずかしそうにお腹を抱えるサクラにノイズがクスッと笑いながらぎゅっと抱きしめた

「サクラもお腹空いたみたいだし、みんなでまた夕御飯食べようっか」

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