こねくとノイズ

第45話 ふいに声が聞こえて

「ごちそうさまです」

「お飲み物いりますか？」

「はい、お願いします」

　ノイズやリリが出た後の食堂では、一人黙々とご飯を食べていたサクラに家政婦が話しかけていた。カチャカチャと食堂に響くコップの音と紅茶を淹れる家政婦達の様子をサクラが少しうつ向きながら見ている。手際よく用意した紅茶を家政婦がサクラの前に置くと、ペコリと少し頭を下げ、そっとコップに両手を添えた

「あの……」

　食堂の入り口の方に戻ろうとしていた家政婦を呼び止めるように呟く。声に気づいた家政婦が振り返りニコッと微笑みサクラを見た

「あの、ノイズって、どんな人なんですか？」

　サクラからの質問に首をかしげる家政婦。入り口付近にいた数名の家政婦達も返事に困って顔を見合わせている

「会ってだいぶ経つ気がするけど、あまりよく知らないので、それで……」

　サクラも少し困ったように苦笑いをしながらコップを見つめながら話すと、家政婦達がどう言おうかとまた顔を見合わせている

「そうですね……。ソナタ様にそっくりですし、でもロンド様にもよく似ていますね」

「本のことに関しても、ソナタ様に似て、とてもよく扱えていますし、サクラさんもモモのことに関しては、たくさんノイズ様に聞くと良いですよ」

「なんだ。ノイズはいないのか」

　突然、サクラの隣から聞こえてきた声に驚いて振り向くと、リディがノイズが残したご飯を食べようと手を伸ばしていた

「……あのう」

　リディを見てサクラが恐る恐る声をかけると、食べようとしていた所で呼び止められ少しムッとしたのか睨むようにサクラを見た

「ソナタさんに呼ばれて来たんだ。今は攻撃はしない」

　そう言うと、大きく口を開けご飯を頬張るリディその隣には、ミクもいつの間にか椅子に座ってご飯を食べていた

「ソナタに呼ばれたの？どうして？」

　今度はサクラの後ろから突然声が聞こえてきて振り向くと、リリとモモがいつの間にか食堂に戻ってきていた

「さぁ。とりあえず来いってさ。コイツに何かあったのかと思ったけど」

　リディがフォークでサクラを差しながらリリに返事をする。ミクがそれを見てバシッと強く手を叩いた

「コイツじゃないわよ。サクラって言いなさい」

　リリもリディに呆れたような声で言うと、サクラを見つめながら少し体を近づけた

「ふーん、サクラねー」

「リディ、あまり近づいたらダメよ。怖がっているわよ」

「だってつまんなくないの？」

　リリに言い返したリディの言葉に一瞬食堂に緊張感が走る。サクラが家政婦達やリディ達を見ると、リリがはぁ。と一つため息をついた

「リディ、憶測で話すのは良くないわ」

　サクラの肩に乗りながら言うと、リディがまた

ムッとした顔でご飯を食べると、リリがサクラの肩を足でトンっと軽く叩いた

「それより、みんな行くわよ」

「えー、どこに？」

　嫌そうな声で返事をするリディ。すると、リリがまたサクラの肩をトントンと叩いて椅子から立つように促した

「ノイズ達のところよ。二人とも危ないみたいだからね。さっさと助けに行きましょ」