第35話 音が消えた場所に
「ノオト、体調どう?」
「まあ、なんとか大丈夫そう」
施設に戻ったノイズとノオト。真っ先に治療室に行き怪我を治してもらったノオトにノイズが心配そうに声をかけると、その心配を消そうとノオトが優しく微笑みノイズの頭を撫でた
「そういえばメメはどこ?」
ノイズの周りを見渡しながらメメを探すノオト。ノイズもつられるように辺りを見渡した
「モモが修復出来そうだからってオンプの所に戻ったんだけど、見てないの?」
「見てないよ。オンプに助けてもらったけど、何も言ってなかったし。どこに行ったのかな」
と、二人が首をかしげていると、遠くからバタバタと騒がしい足音が聞こえてきた
「失礼しまーす。お二人お怪我はどうですかー?」
バンッと治療室の扉を勢いよく開けてオンプが入ってくると、リズムもドタバタと騒がしく医療室に入ってきた
「無事だよー。オンプ達のおかげだね」
「いえいえ、無事で良かったです」
ニコニコとノイズと話しながらノオトの体を触り監査をするオンプ。リズムも検査の様子を見ながら報告書に書きこんでいる
「ところで、メメがどこに行ったか知らない?」
「メメですか?本を渡してから見ていませんが……」
ノオトの問いかけに書き込みながらオンプが返事をすると、突然リズムがオンプの肩をパンッと少し強く叩いた
「ほら!やっぱりあの時、本を戻しちゃダメだったんだよ!」
少し言葉強めにオンプに言うと、エヘヘと笑って誤魔化そうとしたオンプに、注意も込めつつ更に何か言うリズム。その二人のやり取りにノイズとノオトが顔を見合わせ困った顔をしている
「あの、実はノイズさんの本を戻す時、少し変でして……」
ノイズとノオトに頭を下げながらリズムが話しはじめ、オンプも続くようにペコリと頭を下げた
「本の記録が突然戻ったり、出てきた記録がいびつだったりで……。本にするのを止めようとしたんですが、オンプが戻しちゃって」
「ノイズさんの本だから、まぁいいかなーって思って……。ごめんなさい」
オンプがしょんぼりとした顔をして謝ると、またノイズとノオトが顔を見合わせた
「じゃあモモは戻ってきたの?」
「はい。モモとしての記録があるかは分かりませんが、一応、本は戻りましたよ」
オンプの返事を聞いて、ノイズがうーんと悩みはじめた。心配そうにオンプとリズムが見ていると、はぁ。と一つため息をついてノオトに話しかけた
「メメを呼べる?」
ノイズがそう聞くと、ノオトは返事をせず手を前に出し、ふぅ。と一つ深呼吸をした
「メメ、帰ってきて」
ノオトの声に治療室に一気に緊張感が溢れだす。手を出したまま、しばらくメメが来るのを待ってみるが来る気配はない
「戻ってきませんね……」
「遊びに行っていたら、呼んでも来ないことはよくあるけど」
不安からかオンプが小声で言うと、ノオトがノイズを見ながら返事をする。目線があったノイズは、うんと一度頷いて、側にいたリズムの頭をポンッと手を置き優しく撫でた
「私、サクラの様子を見に行きながら、メメとモモを探しに行くよ。ノオトはちょっと休んでて」
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