第33話 不安な気持ちを抑えて
「モモー!ノイズ、居ないの?ノオトさん、メメさんも居ませんか?」
まだ暗闇の中を歩き続けるサクラ。ノイズ達からの返事はなく、不安が少しずつ強くなり胸の前に当てた両手をぎゅっと強くつかんだ
「唄も聞こえなくなったし、どうしよう……」
そう呟くと歩いてきた道を振り向くと、変わらず真っ暗なままで不安からぐっと息を飲んだ
「降りるよりかは、ちょっと登ってみようかな」
ふぅ。と一つ深呼吸をして、少し屈み勢いをつけてジャンプをすると、落ちていく感覚はなく、そのままジャンプしながら登り続けていると、今度はバタバタと何かが倒れる音が聞こえて足を止めた
「今度はなんの音?」
恐る恐る辺りを見渡して見るが周辺は真っ暗なまま。ふと、上を向いてみるとほんの少し光が見えたような気がして、ぐっと足に力を込め、その光の方へとジャンプをした
「リリー、帰ってきたよー」
バンッと玄関の扉を開け家の中に入ったノイズ。ミクも一緒に家の中に入り、ウロウロと歩いてリリを探していると、リビングからカタンと音が聞こえて行ってみると、リリと一緒にのんびりとお茶を飲むソナタがいた
「おかえり、ノイズ」
ニコッと微笑みノイズに声をかけコップをテーブルに置くソナタ。そのテーブルの端っこに、体を縮ませそーっとお茶を飲むリディがいた
「お母様、いつ戻ってきたの?」
「さっきよ。そんな構えなくても、リリから話は聞いているから安心しなさい」
二人が話していると、ミクがリディの隣に来て頭をそっと撫でた
「お母様、サクラは……」
「それは後で教えるわ。それよりノオトが手間取っているみたいだから、あなたは手伝いに行きなさい。リディちゃんとミクちゃんは帰っても大丈夫よ」
ノイズの言葉を遮るようにソナタが三人にニコッと微笑みながら言うと、ノイズが困った様子でソナタに返事をしようとした時、カチャンとコップを持つ音がリビングに響いた
「早く行きなさい。こっちは私でどうにかするから」
そうソナタが言うと、リディがゆっくりと椅子から立ち上がり、ミクと一緒にノイズの前を歩いてリビングから出ていくと、ノイズもちらりとソナタを見ながらリビングを出た。三人の姿が見えなくなると、ソナタがふぅ。とため息をつき、リビングの緊張感が更に増えた
「リリの術じゃないのよね」
と、ソナタの側で体を休めていたリリに話しかけると、耳をピクリと動かすとうーんと背伸びをした
「ええ、家政婦達の術でもないわ」
「みんな、どこに行っていたの?」
リリの返事を聞き、今度はリビングの入り口付近にいた家政婦達を見ながら話しかけた
「私達はずっとこの家に居ましたが……」
「本当に?」
「はい。今日はサクラさんのことがあったので、人手を増やし各自家事をしていましたので、異変があればすぐに気づいたはずなんですが……」
「だそうよ、どうする?」
家政婦の話を聞いてコップに少し残っていた紅茶を飲むソナタにリリが問いかける。考えているのかソナタからの返事はなく、しばらく無言の時間が続いた。すると、ガチャンと玄関の扉が開く音が聞こえ、リビングの窓からノイズの声が聞こえてきて、ソナタが窓を見ながらクスッと微笑んだ
「今すぐ術を解いてもいいけど、サクラちゃんに影響が起きても困るのよね。少し様子を見ましょう」
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