第9話 ティータイムの後に
紅茶を一口飲んだ後、ノイズの部屋をキョロキョロと周りを見渡して、また紅茶を一口飲むと、ソワソワと落ちつきなくまた部屋の中を見渡すサクラ。その様子を見て、ノイズがふぅ。とため息をついた
「緊張してるの?」
「うん、この世界に来た時よりもはるかに……」
「リラックスするために来たのになんで?」
サクラの言葉を聞いて不思議そうに首をかしげるノイズ。家政婦が二人の会話を聞いてクスッと微笑んでいる
「ノイズ」
と、テーブルに置いていたモモの上に突然メメの声が聞こえて、部屋にいた全員が振り向いた
「メメ。ノックか気配くらいかけてよ」
「あら失礼。ノオトから質問があって急いできたから」
クスッと微笑みながらノイズにそう返事をすると、サクラの方にくるりと振り向いた
「お菓子は甘いのは好きか。とね」
「私ですか?甘いのは好きですが……」
「そう。ならもう少ししたらノオトもここに来るから」
と、サクラの返事を聞いてメメがノイズの方に振り向いた
「了解。お茶用意して待ってるね」
そう言うと家政婦の方をちらりと見ると、もうノオトとメメの分のお茶を用意し始めていた。メメがモモから降りて、うーんと背伸びをすると、ゆっくりと姿が消えていった。もうあまり驚かなくなったサクラは、ふぅ。と一つ深呼吸をして、ふと窓から見えるベランダを見た
「凄い素敵なお庭ですね」
そう言うとソファーから立ち上がり窓の方へと歩きだしたサクラ。ふわりと流れる心地よい風でサクラの髪がそよぐ
「ちゃんと手入れしているみたいだからね。私は興味ないから、あまり行かないけどね」
と、ノイズは立ち上がることはなくソファーからサクラの様子を見ている
「花好きなの?」
「はい。お母さんがお花が好きで、私も影響受けて、それで……」
「へぇ……」
しばらくの間ベランダを見て、微笑むサクラを見て、ノイズと家政婦がクスッと微笑む。すると、コンコンと部屋の扉を叩く音が聞こえ、ゆっくりと扉が開くと、メメと一緒にノオトが部屋に入ってきてた
「ノイズ、買ってきたよ」
「ありがとー。サクラ、食べよう」
テーブルにケーキが入った箱を置き、ノイズの隣に座ると、家政婦がノオトとメメに紅茶を差し出した
「あれ?閉めるの?」
急にベランダが見える大きな窓を閉めたサクラ。涼しい風が入っていたが、部屋が少し暑くなった
「雨が降るみたいなので、閉めた方が良いかなって……」
「雨?いい天気だけど……」
と、ノイズとノオトが空を見る。空は曇一つない晴天で、サクラの発言に、二人が首をかしげ、メメは興味無さそうに体を舐めている
「ノイズ様、お洗濯ものを取り込んできます。お茶のおかわり置いておきますね」
家政婦も空を見て、お茶をテーブルに置いてすぐ慌てて部屋を飛び出しいった
「食べよっか。サクラのはどれ?」
「これ。ちょうどサクラっぽいケーキが売られていたから」
ノオトがケーキの入った箱を開け、一つケーキを取り出すと、サクラの手に置いた。四角いケーキの上に色とりどりの花がクリームで描かれていた
「これ、私っぽいですか?」
「そうかもね」
サクラのケーキを見てクスクスと笑い、箱にまだ残っている二つのケーキの内一番大きなケーキを取り出してすぐ食べはじめた
「へー、この世界はみなさん不思議な力があるんですね、凄いなぁ……」
あっという間にケーキを食べ終え、紅茶を飲みながら、ノイズやメメの話しにサクラが羨ましそうに返事をする
「えー、面倒だよ。オンプ達に色々言われるし」
「ノイズは無駄に使いすぎなのよ」
「私は、ノオトみたいに使わなすぎだと術が怠けちゃうもん」
「それでもね、限度があるのよ」
ノイズの返事に呆れるメメ。そんな二人の会話にもサクラがクスクスと笑って聞いていると、いつの間にか部屋に戻ってきていた家政婦が紅茶の入ったポットを持ってサクラにニコッと微笑んだ
「サクラさん、おかわりはいかがですか?」
「はい、お願いします……」
少し緊張気味に答えると、空っぽになっていたサクラのコップに温かい紅茶が注がれるとノイズとノオトのコップにも紅茶が注がれた。サクラが紅茶を飲もうとした時、コンコンと部屋の扉がノックされ、家政婦が一人部屋の中に入ってきた
「サクラさん、お部屋の用意が出来ましたよ、今見ますか?」
「えっ?えーっと……」
急に問いかけれれ困ったようにノイズを見る。ノオトも少し不機嫌そうにノイズを見た
「何の話し?」
「サクラがここに住むっていう話し」
「そう、やっぱり……」
ノイズの返事を聞いて、ノオトがため息混じりに紅茶を飲む。すると、二人の会話を不安そうに聞いているサクラに気づいたノイズが家政婦を見て微笑み今度はサクラを見て微笑むと、紅茶を一口飲みながら話しかけた
「サクラ、お部屋見に行ってきて。気に入らない所があればすぐ直してもらえるからさ」
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