二章

 蛇尾川へびおがわの中流域は水無川みずなしがわだ。


 水は地下を流れていてぱっと見は灰白色の角の丸い石がゴロゴロと転がっているだけの場所だ。

 でも、ひとたび大雨が降れば本流の多摩川おおまがわから大量の水が流れ込み、洪水となって周囲に被害を及ぼす。時たまできる川の流れが激しいものだから生えていた雑草も押し流されてしまう。


 六月のこの時期、蛇尾川が水が流れていない水無川でいられる時間は少ない。

 梅雨の時期だからというのもあるけど、もう一つ。今日の目的である龍に関わる理由があるのだ。

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