43 VS イメールの若君
〈
ついに
「
向こうの
まず、審判に掛け合う。
「
「イメール殿、いかがでしょう」
主審がホランに聞いてきた。
「承りました。お相手、光栄に存じます」
そう答えるしかなかろう。
(おひめさまのごっこにお付き合いか)
それはいい。
(おまえでいい)
ホランは、エルへスの言い方がひっかかっていた。
(そりゃ、わたしは
向かい合うと、月の
(やわらかく二本とらしてもらおう)
いくら武術が不得意だと言っても、このきゃしゃな女子に負けはしない。
でも、問題は
めちゃくちゃ、細マッチョだけど?
(エルヘス~~)
ホランは、幼なじみを振り返った。
エルヘスは、にかにか笑っている。
(昔から、こうだ。エルヘスのせいで困った事態になるんだ。くっそう)
とにかく1回、目をつぶってホランは呼吸を整えた。
(実戦がはじめてって言っていたから。出方をみよう)
「よろしくお願いいたします」
「よろしくお願いいたします」
挨拶を交わした
審判3人が二人を囲んでいて、主審の「はじめ!」の掛け声で試合開始だ。
「はじめ!」
の掛け声が終わらないうちに、どすんとホランの腹に衝撃が走った。
「い、一本」
主審が。
「い、今のフライング……」
ホラン側から見ていた審判が。
「いや、ギリギリ?」
(うわ。ずっこい)
(馬に習ってきた戦法が、それ)
仕切り直しになるだろうか。
「油断し過ぎだろ! ホランく~ん!」
エルヘスの声が訓練場に響いた。
辺りが、ぬるい失笑に包まれる。
かっとホランは上気した。
「……
まさか、女子に先に一本とられるとは。
フライング気味だったとしても、油断していたのはたしかだった。
ホランは、ふっきれた。
(とる!)
(わぁ。きた!)
ホランの、上から振り下ろされた棒剣を、
そして、低い体勢からホランの足を狙う。
ホランも、もう簡単には打ち込ませてくれない。
「けっこう、
「
辺境チームのほうが驚いていたかもしれない。
「――タワシが。タワシが、
いつの間にか、馬が辺境チームのうしろに、にじり寄っていた。
「え?
ユスは、ぶるっと鳥肌が立った。
「――そんなふうに呼ばれたこともあっタかネひひん」
馬が遠い目をした。(たぶん)
「実戦したことないって、マー、言ってたじゃん」
トゥヤも、
「アー。
「わぁぁ。無自覚最強系か」
ユスは、あるあるに納得した。
「タだし!」
「そろそろ、
(行ける!)
そのとき、ホランは
横殴りに棒剣で胴を取ろうとしたのと、自分のほうへ
ホランは
辺りが一拍ほど、静かになった。
「
「
帝が観覧席から立ち上がった。
「
たぶん、
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