35 姉妹との再会
「基本メニューで。 あ! アレルギーがある人! ここの
「都に来ていたのか」
カウンターテーブルに添えられた長椅子に座ってから、
席は、無塗装ホゾ組の木材長椅子だ。大人3人が座るには、きついかもしれない。コの字型のカウンターを囲むように置いてある。
さっき、
(やっぱ、間に入るんだ)
と、トゥヤは、あきれ顔で
「――はい。まず、都に行ってみようと。いろいろな民が集まる地ですし。出会いも多いでしょうし」
「
「……えぇ。ですから出店までは、とてもスムーズに。ここからは、わたしたちの力次第です」
夜のうちに
「平日のほうが場所代が押さえられて、お客さんが殺到しないので、わたしたちのような初心者には、いい場所です」
「すでに、女子うけいいのよ。この店。飲んだ翌朝なんて、お
キィキィは常連らしい。
「はい。どぞ。今の季節は、ほのぬくにしてるから。ご希望あれば熱々にするよ。汗、止まんなくなるけどね」
「水は
「――
そうして、まったりしていると、だんだんと
店頭にいる馬に、皆が一様に立ち止まるからだ。
そのうち、お粥を注文する人も出てきた。
「看板馬になってる……」
列ができはじめたので最後の一口をたいらげて、真白月は椀を持ってカウンター席から立ち上がった。
「手伝お」
トゥヤも食べ終わって、同じく空の椀を持って立ち上がった。
「
「それ、いいですわっ」
と、キィキィが、のってきた。
「ぜひに、あとで1枚、スケッチさせてくださーい。店の
どうやら、彼女の狙いは、そこだ。
そのとき。
わらわらと長剣を携えた者どもが、
「その馬、改めさせてもらう」
やって来たのは寺院の僧兵らしかった。墨染の長衣の者が数名。
「あやしい馬がいると聞いたぞ」
誰かが
囲まれた
「待て!」
聞き覚えのある声がした。
駆けてきたのはユスだった。
「その者たちは、あやしい者ではない!」
「それに、馬具に
「あっ」
僧兵どもは、とたんに低姿勢になった。
「――ここは、まかせてくれ。トゥルフール
ユスの言葉に、僧兵は帰って行った。
そして、薄桃色のハーフマスクの
「オレ抜きで何、楽しそうなこと、おまえら、やってんだよ……」
「ユス先生こそ。なんで、ここにいるの?」
「なんでって。この寺院は、オレの実家だよ。寺院イコール、トゥルフール家管轄地」
「トゥルフール。苗字、おんなじっ」
「今、気づくか」
「ぼくは、ユス先生と
トゥヤは、お披露目会のときに気づいていたそうだ。
そのとき、まただ。
「恐れながら」
呼ぶ者がある。
声の方向を見ると、かくしゃくたる男が
「父上」
あのユスが、あわてていた。
「父上のお手を
「――
男はトゥヤに目を留め、胸元に両手を交差させる礼をした。
「お披露目会でお目にかかりました。
「行きましょう!」
キィキィと
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