12 朝焼け
トゥヤの部屋の寝台の前の壁が、ほの白く輝いた。
次に。
男にかかえられた黒髪の少女が現れる。
しゃ、と
「ま、ましろつき!」
トゥヤが寝ぼけながらも叫んだ。
「……」
布留音が剣を抜いたまま、ぴたりと止まった。
「――
「そう、だったかな?」
「
「
「自己紹介だよね」
「……求婚に応えるという意です。または求婚する」
「え?」
やるせないような沈黙のあと、まず、「うわ~」と、トゥヤが、ほおを赤らめた。
「
「――そうか。よかった。では、私も助かったわけだ。ねぇ、
すでに剣を抜いていたユスが立ち上がった。
「新月だからと、見張っといてよかったよ。どこぞの騎士さま? それとも刺客の
「!」
「——」
お互いが、お互いの力量を読まんとする。
「
また、わざと、ユスは
「
「この男にも
「そ、そうかな?」
申し訳なさそうな
どうやら、異教徒を血祭りにする気は失せたようだ。
「ごめんご。お休みのところ。来ちゃった!」
「このヒトは、
と、ムリかもしれないことを言ってのけた。
「うん。そうだね。仲よくしよ」
トゥヤが、無責任な相づちを打つ。
「ところでさ。
トゥヤが窓の外を指した。
「もう夜明けだよ。日がのぼって来た」
空の色が。
山岳を明けに染めて、まもなく太陽がのぼってくるところだった。
いつのまにか、
〈かぼちゃの馬車〉の帰れコールを。
「どどどうしよう。
その名は、どうにか飲み込んだ。
「帰ったら、メッチャ怒られる。二度と地下迷宮から出してもらえなくなるかも……」
(どうしよう……)
そう思いながらも、
「いけません。
「わ、うん」
たしかに、朝日の一筋で
「うーん」そして、
「しばらく、この城に、ごやっかいになってよござんすか」
それで、朝っぱらから、
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