13 表敬訪問
苦しまぎれにユスとトゥヤは、
そのふたりは、ちっこいのと、しゅっとしたの、という具合にドルジには認識された。ふたりとも白いベールをかぶっていたからだ。
ちいさいほうが少数民族の
一同は、広間の次に広い応接の間で、大テーブルに着席した。
トゥヤとユス先生もだ。
ユスは通訳と議事進行を兼ねた。
「この山岳の奥地に住む一族です。彼らは
「なるほど」
ドルジはヤギの乳を飲みながら、うなずいた。
「古代の風習を残す貴重な種族です。山のガイドとしても優秀です」
ユスが説明するうちに、テーブルには朝食の用意がととのえられた。
小ぶりな丸パンと山羊のミルク。スゥプは、じゃがいもと根菜が入っていて、
軍人である彼らは、朝から肉を食す。
「いにしえの土着信仰というのは女神信仰かね」
ドルジがが察するに、代表は年若い
すっぽり白いベールをかぶっていて、顔はわからない。
ただ、ベールのほつれた
「我々、学者の間では山岳の部族のことを、その信仰からも〈
「なるほどな。それで、このちっこい方は、お
正解だ。
「婚姻前の娘は、風習で顔を見せないのです」
なるほど。神官騎士という男もシーツに見えるベールをかぶっている。
「〈
なるほど。と、ドルジは納得した。
実は、
ドルジは、そんなことだは気づかずに甥のナラントゥヤが、
なるほどと。
この
シーツの裾から、また白い細っこい手がのびて、スゥプの鉢をたぐり寄せた。
「――で、折々、トゥヤさまに、あちらへうかがっていただいたり、
「いいんじゃないか? 兄上も反対しないだろ? 自分の居城の地盤を固めるのは大事なことだ」
甥に関してはユスの判断に従っている。
現帝の覚えよろしい男だと、うすうす思うところもあった。
「了承する。だが、兄上がお戻りになってからにしてくれ」
そして、
やっと、
そして、差し伸べられるだけ手を伸ばし、光を受けた。あたたかい。地下迷宮の人工のあたたかさとは、何か違う。
(なんとまぶしいものなのだ)
「
「いけません。お
「えーと、ですね」
ユスが
「神官騎士殿にうかがいたい。本当に
「心底からと問われると、ない」
「ま、そんなところですね」ユスは苦笑いにとどめた。「それから、
「へはい!」
急に呼ばれた
「なぜ、君は警備の目をくぐって、この城に出入りできる? 私の目の錯覚なのかな。君は消えたり現れたり——」
「地下迷宮とつながっているせいだと思います」
しれっと、
「ひ、め」
「た、わしこそ知りたい」
「
「ご指摘、痛み入ります。わ、た、し、は、六……に聞きたい」
「おそらくですが、その」
「それでもって
「――呼び出されています、わたたわし。『 反省室に来い 』って」
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