10 3回めの新月
伝承には、『 雨が多く降る 』という記述が残されている。ただし、どの地域かによって報告例は様々で、あてにはならない。
そもそも、最初の地下迷宮の住人達には、この〈星区〉の気候など関係なかった。 ただ、それに関しての資料は
『
ここ、地下迷宮に季節はない。
ただ、
昔から
「
引き戸を開けるのを
「行くって約束したから」
「トモダチは選ばねば、いけないス」
「そういえば、城に
「ああ、
「トモダチ?」
「コンピューターのコンピューターは、皆、コンピューターでス」
「
「〈外〉の住人にとって、我々は〈異端〉です。スクラップにされまっス」
「そんなの、
「我々の目的は、ひっそり暮らすことダす」
「もう十分ひっそり暮らした」
「んダすね」
「外に出た
やはり、結局、異世界から来たような
「うん、わかってる。でも、行っていい? ね?」
「……ワかりまスた」
あきらめ顔で(たぶん)、
「
「了解」
「オや、どぅしまシ」
「いろいろ、
「なら、
それには、もう応えず、「行ってきやーっす」、ひょいと
石廊下をスキップして行く。
「
「はぁイ」
ドームの天井から、まのびした返事が落ちてくる。
「
今さらながらだが、
「ゾンじあげておりマ。私の記憶の一部は
「教えてほしいことがある」
「まず、お乗りくださいマ」
うながされて、
静かに階段は動きはじめる。
「
「
「ツブラさま?」
「
「
「この地の、かつての宗教感にのッかったデっす。それが、イちばん自然に、その
のぼっていく階段の内壁で、描かれた青白い星が、またたいている。
「わたしたち、どこから来たの」
「遠い、遠い、トコロから。スンブルの山よりも。スーンの海よりも。ガルバラクチの大樹が枝くらいのときから。世界が卵くらいのときから――」
「ナオ、この
「すご。抜かりないー」
たしかに、そういう装備なく、いきなり〈外〉に出るのは心配だ。
「もしかして胃もたれの薬とか、
「ありまっス。ガ、胃がもたレるほど食べる必要が
「ある」
「……」
コンピューターにも、あきれるという感情があるらしい。
そのうち、
西を示す
「もう、びっくりするのは、ごめんなすって。だから、どこへ、つながっているのか教えて」
今、目の前の入り口のアーチ門の上に彫られているのは、北を示す
うしろの入り口のアーチ門の上に彫られているのは、南を示す翼を広げた鳥。
「
「立ち入り禁止?」
「では、城外へ出る」
※〈陸月〉 この世界の6月らしい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます