7 2回めの新月
「お待たせしやした。待つの長い!」
地下迷宮では
「睡眠シェルターに
冷めた面持ちで
「それ、
さんざん、今まで
眠りたかない。
「時間は、お守りくださいヨ」
「き、聞いてるってぇ」
図星の指摘に、
「〈かぼちゃの馬車〉、
言いながら、
「
そして、0時。
地下迷宮の
「
最後の忠告は背中で聞いて、
また、一足飛びに石廊下を抜け、もう慣れた様子で
ドームの小部屋の〈四匹の力持ち〉をいただいた4つのアーチ状の入り口に着くまでに息をととのえる。
「おー出かけ、でスかー」
天井から
「
「――左へ」
迷わず
また、まわりの風景が、ふわりと白い光に包まれる。
一息のうちに、どこかへ運ばれる。
(この間とはちがう場所だ)
おそらくアーチ状の入り口は、どこかへ最短距離で行くための装置だ。
空気が変わる。
白い室内灯の光が、夜の群青の色に、とって変わる。
目の前に石の壁があった。両手でまさぐって、
人の声も楽の音も聞こえない。
この間のような
(やはり、
しかし、
振り向いたら4つの柱に支えられた
そのトゥヤは。
先月の新月の晩から、さらに熱心に城や城のまわりを探索していた。
祈りの間の肖像画に似た、あの少女がまた現れないかと。
肖像画の
中庭で待機もした。しかし、待ち人は現れなかった。
一カ月もたったろうか。
もう、万策尽きたと今夜は早めに自室で休んだのだ。
そして、ふと夜中に目を覚ましたとき。
部屋に月明かりがさしていると思った。
だが、今夜は新月だったと、すぐに思い出す。ほの白い光を放っているのは、目の前の壁だ。
そして。
あの夜の少女が、そこに現れた。
少年の姿に気づいて息が止まりそうになった。
(どうしたらいい?)
右手をゆっくりと右耳のピアスに近づける。
「――逃げないで」
ようやく、トゥヤは声をしぼり出した。そして、寝台の端まで
少年の声で、この前の新月の晩に会った人物だと気がついた。
「――質問してもいい?」
トゥヤは尋ねた。
「どうやって、ここに来たの?」
「――ぬけみち?」
「この間、会ったのを覚えている?」
「――おぼえてる」
少年の言葉は
「私はトゥヤ。ナラントゥヤ。正式の名はもっと長いよ。父と大陸を巡る
少年は、ゆっくりと身振りを合わせて話した。
寝台の脇に置かれたソルトランプの
「たわし、は」
ああ、これを〈自己紹介〉というのか。真白月は思った。
学んできた『 とっさのときの
「わ、たしは
「ましろつき、
トゥヤは聞き直した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます