第15話 渇きの海と隠者の問い

 俺の視界を色んなものが浮かんでは消える。おそらく俺は夢を見ているのだろう。

 色々なものを思い出したり、何かが通り過ぎたり。夢というのは記憶と情報の整理だともいう。

 その中で俺の目の前に、ぼんやりとした影が見えた。


『ぎぎ……久しぶりだな』


 かつて地獄の道で、命を散らした兄弟が俺の前に立っていた。

 こんな幻覚を見るようだと、俺も長くないのかもしれない。

 それとも兄弟は、俺を迎えに来たのだろうか。


「ああ、久しぶりだ」


 俺は兄弟にそう声をかけた。

 兄弟からは、憎しみの言葉の一つも吐かれるのだろうか。

 そうだとしても、俺はそれを受け止めなくてはならないだろう。


『ボロボロだな。キョウダイ』

「そうだな」


 もう足の数も4つしかない。

 動くことはまだまだできるが、動くための速度は遅くなってしまっているだろう。


『ぎぎ……こんなレースは、もう諦めたらどうだ』

 

 兄弟はそんなことを言い出した。


『水はある。狼はキョウダイを守るつもりがあるようだ。ぎぎ……亀や蛇だって悪くは言わないだろう。女王アリも出口さえ教えてしまって、キョウダイここに残るというならば、殺しあうこともないだろう』


 確かに、もう体に力が入らない。どれだけの敵がこれからも出るのか分からない。

 

「そうだな、それもいいかもしれない。その提案の通りに、ここで休んでもいいのかもしれない」

『ぎぎ……そうだ。本当は勝てやしないとキョウダイだって分かっているんだろう』


 ああ、分かっているとも。どれだけ小細工を弄しようが決して勝ち目のない相手はいるのだと。

 俺はあのゾウの巨大さを見た。

 あの生き物は例え急所をがあったとして、俺の体積では命を燃やし尽くしたところで、何の痛痒も与えられないだろう。

 俺はあの女王アリの強さを知った。

 あの生き物は、群として全てを殺しつくさねば、勝ったと言えぬだろうしそれはどれだけ困難なことか。


「知ってるさ。俺が弱いことも、あいつらが強いことも」


 初めから分かっていた。……いや、分かっていたつもりだった。

 走れば走るほど、色々な生き物と戦えば戦うほどに、絶望はより深くなる。


『だとしたら無為に戦い、死ぬことに何の意味がある』


 落命した兄弟に言われると、説得力がある。

 勝てないなら、残りの時間を静かにここで過ごすのもよいのかもしれない。

 命の時間は長いか、短いか。結局はいつかは終わる命ともいえるだろう。

 だけれども、だ。

 俺は同時にいくつかの顔を思い出す。

 亀や蛇、狼。このレースは厳しいものであったのは確かだ。

 だが、苦しいだけだったのかといえば否だ。

 皆でここまで一緒に来たんだ。


「なあ、兄弟。命って何だと思う?」

『喰らって、喰われる。それが命だ』


 そうだな。俺達はそういう世界に生きてきたのだからな。兄弟の言葉にひどく納得することもある。


「でもな、兄弟。俺はいつか花火を見たとき、それだけじゃないと感じてしまったんだ。俺はそれが何なのかはまだ分からない。だが、その答えをいつか知りたいんだ」


 そして俺は夜空に向けて、走り出したんだ。その気持ちにいつかたどり着けるように。

 カメ子を助けたくて、ヘビ子とは友達になって、狼とは約束をして、女王アリには勝ちたくて。


「……そして道はまだ半ば、俺の体はまだ動く。だから、俺は行くよ」

『分かった。……ならばキョウダイ。……手を前に出せ』


 俺は兄弟の言葉の通りに震える前脚を前に出すと、兄弟は自身の前脚の先をつんとあわせた。


『ぎぎ……仲直り……だ』

 

 兄弟は穏やかな声でそう言った。

 ……なんとも俺にとって都合の良い夢だ。

 仲直りの儀式の事など、兄弟は知りもしないというのに。

 だがそれでも、なんとも穏やかな気持ちになれた。


『……その代わり。ぎぎ……誰にも負けるな』


 ああ、それだけは守ろう。自分で自分に誓おう。

 夢は自分自身の声ならば、俺は誰にも負けたくないと思っているのだ。

 ゾウだろうが、女王だろうが、まだ見ぬ敵だろうが、……あるいは自分自身にだって、負けたくない。



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 光が眩しくて、俺は目を覚ます。

 兄弟の姿など、やはり影も形もなかったが、体に力が少し戻っている気がした。

 正直に言えば、少しばかり疲れていたのだろう。眠ったことで体力は戻ってきた。

 それと、久しぶりに色々と考えることができた。

 兄弟の事、俺の事、これからの事。 俺はまだ生きていたいと願っていること。


「……ようやく起きたか。ちょうどよい。こちらも報告が入ったところだ。さて、早速向かおうぞ」


 俺の目の前には女王アリがいた。

 だが、アリが探索をし終えるまで眠りこけているとは、俺は一体どれだけ長い間眠っていたのだろうか。

 狼は近くにいたが、カメ子とヘビ子は少し離れたところにいた。


「くーちゃーん」


 遠くから呼びかけられたので、俺は軽く前脚をふって無事を主張してみた。

 ともあれ俺は女王アリたちとともに、出口に向かうこととなった。

 本当は俺はカメの上に乗りたいところであったが、人質でもあるため女王アリの隣にいくことになった。


「うむ。ここから北西の方角、32キロメートルの地点にゆくぞ」


 お互いが、お互いの命を握る。

 女王アリの背後には狼がいるし、俺の周りには親衛隊のアリどもがいる。

 各地に散ったアリ達もぞろぞろと俺たちの後に集結してきている。

 アリ達もある程度の数が集まってきたら、女王アリは俺たちと手を結ぶ理由がなくなる。

 いつ襲い掛かれてもよいように、警戒しなくてはならないだろう。

 俺はそうして気を張っていたのだが、女王アリが何やら指示すると、道が開きそこからカメ子とヘビ子が並走してきた。

 そして気の抜けたような声で話しかけられた。


「くーちゃん、ずっと眠っていたみたいだけど大丈夫ー?」

「ああ、問題ないぞ。今もこうして運ばれているだけだしな」


 本来なら、生きたままこうしてアリに運ばれることなどありえない事だった。

 この暑い中、アリは砂地を歩き続けている。なんとも強い体力を持っている。

 しかし考えてみれば、カメ子が心配するほどに俺はかなり深く眠ってしまっていたのだろうか。

 それに生き物は死に瀕した時に、既に死した者の幻覚を見るともいう。

 今は休んで体が動くが、さっきはすこし命が危なかったのかもしれない。


「お前たちはどうだ?」


 俺は仲間たちに声をかけてみた。


「わたしは、完全亀だよー」


 完全亀が何を意味するのかは分からないが、とりあえずカメ子は瑞々しい肌を取り戻していた。


「ボクも準備は万端さ」


 そう言うヘビ子の体がポッコリと膨らんでいる。

 大量の水を飲みこんだまま移動しているのだろう。


「私も問題ないんだぜ」


 狼は自身の前足で、縫った傷跡を軽く指した。

 血はすっかり止まっている。血色も悪くない。


「道中は長い。其の方そのほうら話を何か我に聞かせよ」


 この言葉の真意は、おそらくこちらを測っている。。

 戦いは情報が重要であるから、世間話と称してこちらを観察するつもりなのだろう。

 敵対すると分かり切っている相手に、あまりこちらの情報を与えたくはないものだ。

 俺と狼とヘビ子は視線を合わせて頷いた。

 ここは適当に流しておく方がよいだろう。

 そう思ったのだが、カメ子がのんびりとした声を上げた。


「じゃあ、わたしが話をするよー。わたしは昔、人間のおばあちゃんに飼われてて……」


 カメ子は毒にも薬にもならない話を始めた。

 だが、女王アリは人間に興味があるのか身を乗り出して聞いている。

 偶然かどうかは分からないが、こういう話ならばこちらの情報の開示になりすぎないだろう。

 そう思いながらも話を聞いているとなかなか面白い。カメ子は人間に飼われていたから、感覚が人間に近いのかもしれない。

 人間にどうやって飼われていたのか、とか。普段は何を食べていたのか、とか。

 よくよく聞いてみると、人間に甘やかされて育ってきたようだ。

 外敵のいない平和で小さい庭で暮らしていて、毎日食事を与えられる。

 そして、一日を日向ひなたぼっこをしたり、テレビを見たりして過ごしていたようだ。

 それでこんな鬼のようなレースに叩き込まれたら、確かに絶望したくもなるだろう。

 それにつけても、カメ子は人間の知識が相当ある。

 女王アリもだが、俺も人間には相当興味を持つ。時間はまだあるものだから、交互に人間について質問しながら進んだ。

 

「ふむ。しかし、テレビてれびじょんか。ニュースにうすとやらは必要性は理解できるのだが、バラエティばらえていや恋愛ドラマは理解が及ばぬ。それらが造られたことに、何かしらの理屈が存在するはずなのだが、理解の為の情報が足りぬ」

「うーん。ボクは人間が、あんまり意味のないこともすると思うけどね」


 ヘビ子はそう言ったが、女王アリは腕を組むように考え込んだ。

 アリの性質なのか、生真面目にどんな情報すら吸い上げようとする。

 そして話をしていて思ったのは、女王はどんなことでも否定からは始まらない。

 あらゆる理屈も一旦は受け止めて、理解をしようとしているのだろう。

 相手に打ち勝つために理解をしようとする。簡単なようで実に難しい。

 だからこそ恐ろしいことだ。女王はこれほど強き者というのに、勝つ為の努力を惜しまぬというのは。


「……して、亀よ。他には何か人間との思い出はあるのか?」

「その後は、しばらく経って……おばあちゃんが動かなくなっちゃった」


 そうか、人間も俺たちより寿命は圧倒的に長いが、それでもいつかは命が尽きる。

 カメ子はぽろぽろと涙を流している。

 何と声をかけたものだろうか、飼われたことなどないから少し考え込んでしまった。


「……命の終わりは泣くべき時ではない。命が失われたならば、それを糧として前に進むがよかろう」


 先にカメ子に声をかけたのは女王だった。

 おそらくカメ子への激励というわけではなく、女王自身がそういう生き方をしているからなのだろう。


「それに亀よ。我は人間のことわざを知っておるが、その中に『涙は女の武器』という言葉があるのだ」

「え? うん」


 急に女王は何を言い出すのだろう。カメ子も戸惑っている。


「ならば泣くべき時は、戦う時のみであろうぞ」

「……ボクはそう言う意味じゃないと思うけどな」


 ヘビ子は呆れたように言う。

 だが俺は、女王と同意見なところもある。

 そもそも、大鷲の瞬きまばたき程度で瀕死になれる俺だ。亀の涙が直撃したら圧死する可能性すらありうる。

 そんな言葉を聞いたカメ子は前足でごしごしと、涙をぬぐって笑顔を作った。


「ありがとう。女王アリちゃん」

「女王アリちゃん、とな……」


 女王アリが絶句していて、それを見たヘビ子は笑いをかみ殺している。

 カメ子は怖いもの知らずにも程がある。狼がこの場にいなかったら殺されていただろう。


「じゃあ、女王ちゃん」


 しばらくの沈黙の後、女王アリは静かに声を発した。


「そう呼ぶことを許そう。どの道、この渇きの海だけでのこと。逆に問おう、……其の方そのほうは人間に飼われていたというならば、名前が付けられていよう。名を何と申す」

「それがね。『カメ子』っていうんだよ。くーちゃんがつけてくれたのと同じ名前なんだ」


 カメ子は目を輝かせながら、首を伸ばした。


「うわあ。ボクはその名前、ちょっとそのまますぎると思うな」


 ヘビ子が俺を見ながら小声で言う。

 俺はそれと同じ名前を付けたんだが?


「うるさいぞ。それなら今日からお前は『うわばみ子』だ」

「ごめんってば」


 ぺろりと舌をだしてヘビ子は謝った。


「そうだ。女王ちゃんも、狼ちゃんも、くーちゃんから名前を付けてもらうと嬉しい気持ちになるよ」


 女王アリは静かに首を振った。


「よいか、カメ子よ。我らは種族を背負う者である。我ならば群そのものであるし、狼ならば最後に残った個である。種族の在りようこそ我らである。それが王というものよ」

「そうなんだ」

「とはいえ、そうさな。我と狼には随分と違いがある。故にこの場で狼の目的を教えてもらおうか。何をしでかすか分からぬでは、協定として不誠実であろう」


 女王は黙り込んでいた狼に話を向けた。


「……まぁ、いいじゃないか、なんだぜ」


 ぽつりと狼は呟いた。


「狼自身の目的を、ここで宣言するがいい」


 狼と女王は声を潜めて話をしている。


「……私は人間レースにも優勝にも興味がないんだぜ。ただ、借りもあるし、クモの障害を一つだけ取り除いてやろうかと思ってるんだぜ」

「なるほど、……今は、それでよかろう」


 女王は狼の答えに小さく頷くと、俺の近くに戻ってきた。


「そうだ。其の方そのほうよ、不戦協定の間に互いに障害になりそうな敵についての情報を交換せぬか?」


 女王がそう提案してきた。

 確かに情報がいくらあっても足らない。そして、こちらの事でなければ話せることもそれなりにある。


「ああ、それがいい。じゃあ俺から、ゾウについてだが……」


 俺はゾウの大きさや、鼻の可動域、歩き方の癖などを女王に伝えた。

 もし先に進むなら、かならず互いにとっての障害になる。

 あわよくば、共倒れが望ましい。


「ふむ、なるほど。ゾウの事はそれなりの情報である。では我からの情報として、其の方そのほうらのように多くの生き物を率いる集団があるのだが……」

「……ドーシとか呼ばれるゴリラか?」

「それだ」


 女王は苦い声を出した。


「地面のところどころに、杖のようなものを埋めておった」

「何のために?」

「知らぬ。だが、どうせろくなものではあるまい。そういった連中は見つけ次第、我らは捕まえておるのだが、苦しめたところで何をしているか一向に吐かぬ。信仰心ともいえるほどの強い求心力があるようだ」


 女王は首をふりながら答えた。俺はどうにも気味の悪さがぬぐえなかった。

 しばらく、無言のまま進むことになった。


 さらに進み続けて、出口が見つかった。

 ただその出口は、俺が最初にカメ子とヘビ子に砂の服を作ったのと同じように、砂の糸で偽装されていた。

 クモの糸。だがこれは俺が吐き出せるような目に見えぬほど小さいほどのものではない。

 およそ一本が10cmもある。これに触れれば虫どころか、大型の生き物でさえもからめとられるだろう。

 体調を俺の糸からの比率で考えるならば、これを吐いたクモは小さく見積もっても1メートルは越えるだろう。

 ああ、俺が兄弟の夢を見たのはこれが原因か。なんとなく、こんな気もしていのだろう。

 俺の前脚は震えそうになる。何とかそれを押し殺しながら、ヘビ子に尋ねる。


「なあ、ヘビ子。最初の頃に言っていたよな。俺には絶対に勝てない相手がいるって」

「……うん、そうだよ。この生き物の事だよ」


 アリが数百匹単位で、糸をかみ切ろうとしてすでに干からびている。

 この糸には、どれだけの粘性と強靭性があるのか。


「ボクは管理側ではあるから細かい説明はできないけれど、この生き物がなんと呼ばれているかくらいなら話してもいいかな」


 俺は息をのんで、ヘビ子の言葉を待った。


「生き物としては、クモの大型の変異種。いや、ここまでくると異常種とでもいうべきかな。かつて日本と言う土地ではこう呼ばれたよ。人すら喰らう悪なるもの、……土蜘蛛ってさ」


 ただでさえ俺たちクモという種族のオスは、メスに決して勝てないようになっている。

 正面から対峙すると、体が動かなくなってしまう。それどころか時として、自ら望んでメスの餌になりに行くものもいる始末しまつだ。

 恐ろしい。その姿を思い浮かべるだけで身が震える。人間であれば涙が出ていることだろう。

 この小さく力を欠いた体で、心すらも凍り付いている。戦力的に立ち向かえるはずはない。

 だが、俺は自分の欠けた脚を眺めた。この脚は兄弟と戦った脚だ。

 残っている前脚を見る。この脚は兄弟と仲直りをした前脚で、ヘビ子とも友達になった前脚だ。

 例え幻でも、自分自身に負けないと約束した。ヘビ子には俺が勝つと約束して、……カメ子には最後まで共に走ると約束した。

 次々と約束が増えている気がするが、それも悪くはないだろう。

 何より負けたくないなら、負けるわけにはいかないだろう。

 俺は一歩踏み出した。


「この程度、何のことはない。さあ、行こう」


 カメ子とヘビ子は頷いて、俺の後をついてきた。

 新たな薄暗い道からは、生暖かい風が流れてくる。俺にはこの通路自体が大口を開けた生き物のように感じる。

 さらに進もうとしたところで、カメ子が急に飛び出して前足を伸ばした。

 頭上からアリが襲い掛かってきていた。 

 カメ子は前足でアリを振り払うが、多くのアリにたかられてしまう。


「女王ちゃん!」

「その呼び方は許したが、我は其の方そのほうらと、馴合なれあうつもりはない。不戦協定はここで終わり。我は其の方そのほうらの力を認めよう。故に我らに甚大な被害があろうが、ここで自らの手で倒さねばならぬ相手と理解した」


 アリの女王は黒い柱から、俺たちに声をかけてきた。

 そうか。俺が出口にたどり着いたことで協定は終了したのだ。


「我は油断も容赦も、微塵もせぬ。……だが、せめてもの慈悲である。そこで立ち止まるなら、苦しむことなく殺してやろう」


 いや、むしろよくここまで約束を守ってくれたものだ。

 だが、感心する間もなく黒いアリの絨毯が、俺達に近づいてくる。

 狼は、一度低くうなると咆哮した。

 その勢いでカメ子に群がっていたアリが吹き飛ぶ。

 俺は糸を吐いて、カメ子になんとかしがみついた。


「おう、ここは任せて先にいくんだぜ。少しばかり頭のかてえアリの女王と、じゃれてくるんだぜ」

「狼!」

「狼ちゃん」


 黒い柱の前に、狼は立ち塞がった。


「後で追いつくんだぜ。私がお前の願いを叶えるっていう約束もあるし、ここは私の死に場所じゃないんだぜ。狼は嘘つかねえから安心するんだぜ。……じゃあ、後でな」

「体が小さきクモよ。強き者よ、次に会う時には決着をつけてくれよう。その時を楽しみにしておるぞ」


 狼と女王アリの各々から声を掛けられる。


「ああ、またな」


 俺はそれだけ叫んで、亀の頭の上に飛び乗った。

 そして糸を吐いて兵隊アリの足を止める。


「さあ、行くよ。くーちゃん」


 俺とカメ子は坂道になっている通路に、勢いよく駆け込んでいった。

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