Day.1-2 【2ステージクリア】ウエイターのジョブを獲得した!

 少し時間が経って、冷静になってきた。

「喫茶店、新聞があったよな。まずは現状把握だ。」

 喫茶店に戻って新聞を開く。そこには「1980年9月1日(月)」とある。信じられないが、イタズラにしては凝りすぎている。一旦、今が1980年だと信じるしかない。

 「他にも情報はないかな」などと考えながら店内を見回すと、アルバイト募集のポスターを見つけた。そういえば、手持ちの現金は残り少ないし、銀行に行ってもキャッシュカードは使えそうもない。

 意を決して、レジ横でタバコを吸っている40代半ばの女性店員さんに声をかけた。


「すみません、このアルバイトに応募したいんですけど」

「学生?じゃないね。訳あり?」

 スーツ姿でいい年をした俺を見て、女性はタバコを吹かしながらつっけんどんに問いかける。

「訳…、勤めていた会社が倒産して、仕事が必要になったんで…。」

 即興で言い訳をしてから、履歴書を持ってこいと言われたらどうしようと冷や汗をかく。

「サラリーマンも大変ね。ちょうどバイトの子が旅行に行ってて接客がほしかったから、明日っから1週間来て。あ、わたしがオーナー。よろしく。」

 1週間とはいえ、存外簡単に採用になったことにホッとする。それにしても、レジ横でタバコなんて、昭和って感じだなあ。


 ホールに出ると買い物で駅を訪れた有閑マダムのマシンガントークに付き合わされ、男性客からは「定職に就いたらどうだ、定職にもつかないでフラフラしていて…」と説教をされた。

 俺は年収も営業成績もそれなりに安定していて、彼女もいる、自他共に認める「ザ・及第点」で通っている。今はアルバイトをしているものの、これに関しては全く痛くも痒くもない指摘だ。


 夕方ごろ、4、5人の女子高生グループが来店した。そのうちの一人がアーケードゲームを始めたので少しでも役に立つ情報がないか注意を向けた。最初はゲームについて話していたが、そのうちに話題が移り変わっているようだった。

「ねえ、あんた、先輩のことが好きなんでしょ?」

「…違…!憧れてるだけ」

 渦中の女子高生は俯きながら小声で答える。これに反応して女子グループの黄色い声。典型的な女子トーク。個人的には聞いちゃいけないものな気がして、少し苦手だ。


 無事に1日目が終わった。正直帰ってすぐにでも寝たいが、ここからが本題だ。

「オーナー、実は、閉店したあとアーケードゲームで遊びたいんで、後片付けやっておきますよ」

「あんた、はじめて店に来た時も一人でゲームなんかしてたわね。まったく、いい大人が…。熱中するのもほどほどにしなさい。」

 日給を受け取った後、閉店後にアーケードゲームをすることができるようになった。


===

【ミッション】2ステージまでクリア

===


 一人でアーケードゲームをしながら、俺はあらためて自分に起こったことを考えた。一体何が1980年にタイムスリップさせたんだ…。


====

Day1

収入:日給の5,000円

成果:2ステージクリア

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る