1週間でインベー◯ーゲームを1周クリアしないと1980年から帰れない!?

酢漿草

Day.1-1 【チュートリアル】レトロアーケードゲームで遊んでみる

 ゲーム画面から顔を上げると落ち着いた店内が一転、活気に満ちていた。しかも、黄色かった壁紙もさっきよりも白く新しい。

「!????」

 違和感に胸騒ぎがして、急いで店を飛び出す。街並みに奇妙な違和感を感じる。道ゆく人のファッションも、賑わいも…。

 営業先の企業が入っているビルに行くと、そこは魚屋になっていた。スマホは…繋がらない。

 アレか?!もしかして…。

「9 ステージ クリア しないと 1980  ねん から もどれ ない」!?


◆◆◆◆◆


2022年9月某日

 9月の正午を回った頃、俺は13時からのアポのため、早めに下町にある都内の某駅に降りた。秋から始まるクリスマス商戦に向けたおもちゃの営業回りだが、毎年のように人気キャラクターモノが売れ筋。大体例年通りのセールストークで十分だ。

 喫茶店でコーヒーと軽食でも食べて待とうと思って喫茶店を探す。

 駅前に「スワン」という喫茶店があった。だいぶ古めかしい店だが、こういう店の方が落ち着けそうだと思って入店する。

 レジの横には店主と思しき老婆が腰掛け、店内は年季とタバコのヤニで独特の黄色みがかった壁紙と少しずつ年代の違うレトロ家具が、コロナ対策の飛沫防止のアクリル板と調和して、独特の雰囲気を醸し出していた。


 ウエイターのお兄さんを呼び止めてオーダーをする。ついでに、テーブルについた赤い操作レバーとボタンについて尋ねる。

「ピラフとホットコーヒーのセットを一つ。…それから、これ、何ですか?」

「ああ、アーケードゲームですよ。100円で遊べるんですけど、もし遊ぶなら電源入れましょうか?」

 確か小銭は少しあったはずだ。玩具営業の仕事柄、話のネタになるだろうと遊んでみることにした。


 ピラフを平らげてから100円玉を入れ、何種類かあるゲームの中から「スペー◯インベーダー」的なシューティングゲームを選択する。

 起動すると、「9 ステージ クリア しないと 1980  ねん から もどれ ない」という文字が表示された。

「何かのバグか、ゲームの導入か何かか?」

 その時はあまり気に留めていなかった。


 ゲームスタート(チュートリアル)

=======

侵略してくる宇宙人を迎撃してみよう

(1ステージで終了)

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 「弾を打ったときの『ピュン』という音が小気味いいな」などと考えながら弾丸を避けつつ、敵を爆破していく。


 少し遊んで、「そろそろ客先に向かう頃合いか」と顔を上げた。そこから、冒頭の苦難が待ち受けていた。

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