第18話 手品

「怖いなぁ。サキス兄さんどっち行けばいいと思う?」

「知らん。とりあえず右に行けばいいんじゃん?」

「わかった。責任とってね⁉︎」

「いやに決まってんだろ」

薄暗い廊下を歩き続けて10分。機械の声が聞こえてきた。

「ん?なんだこれ」

「機械の音だ。おそらく付き添いのアームが稼働してるのだろう」

少し進むとドアがあった。中に入ってみると、吹き抜けの部屋に繋がっていた。鉄骨と網で構成された足場の合間に、付き添いのアームたちが食事の受け取りと返却をしていた。

「こいつらここにいたのか…」

下を見てみると、さっきの作業場があった。

「あーれまー、哀れな奴らだwww」

「お前もさっきまでその1人だったからな?」

アームの中にはパラッパラーがいた。パラッパラーは高島に気づくと、トウモロコシを受け取り窓口から奪い取り、勢いよく高島の口の中に突っ込んだ。

「ふご⁉︎ふぁんだ⁉︎ふぁ、ふぁめろ!!!!!!」

「クソ真面目なロボットだな」

高島はパラッパラーの腕(腕は英語でアーム)を叩いた。が、びくともせずに、今度はコンソメスープを放り込まれた。

「ふぁ、ふぁっちぃ!!!!!!ふぁついふぁついふぁつい!!!!!!」

「おい日本語になってねぇぞ大丈夫なのか⁉︎」

やがて高島が疲れたことに気づいた彼?は指輪を出すと、それを中指に嵌めた。

「ん?非リア舐めてんのか?」

「んなわけないだろwww」

彼は中指に嵌めた指輪と人差し指を見せると、勢いよく手を動かした。すると、なんと指輪の位置が変わっているではないか!!!!!!

「え?なんか変わった?いや、指輪の位置が変わってる?」

「しょうもない手品だな。指輪は中指から動いてない。人差し指を引っ込めて薬指を出しただけだ」

「本当だ。これ知ってる」

パラッパラーは怒り狂うと、高島に襲いかかってきた。

「⁉︎⁉︎」


『ジャンプパンチ』


高島は咄嗟に反撃した。が、彼に掴まれ、宙ぶらりんな状態にされてしまった。

「おい何するんだ!!!!!!」

喋れないのか、喋らないのかは知らないが、彼は黙ってどこかへ向かう。











なんと着いた先は社長室だった。

「えぇまたここ………」

眞田氏はイスに座った。

「君、寄生されているよな?」

「え?ああ、まあはい。そうですね」

「急展開すぎてわからないかもしれないが、実は私も寄生されているのだ」

「ああそうすか」

眞田氏は指パッチンすると、いきなり天井からテレビが出てきた。

「寄生している寄生虫の名前は?」

「えぇ?サキスです」

「やっぱり!!!!!!兄さん!ずっと探してたよ!!!!!!」

「??????」

突然の告白に、戸惑う高島はサキスに聞いた。

「社長さんはサキス兄さんの弟なの?」

「えぇ?まさか…。んなわけないだろ」

「は?」

眞田氏は一瞬フリーズした。

「んなわけ……ないだろ?まさか。私はさっき君を排除してしまったが、やっぱり誰に寄生されているか聞くべきだと思って呼んだのに?そしたら予想通り兄さんだった……。が、んなわけないだろ??????」

「(これヤバいんじゃん?)」

彼は机を台パンした。

「せっかく地上まで来たのに!!!!!!ここで忘れられてたまるか!!!!!!きっとそのガキに騙されているんだ。殺してやる!!!!!!畜生!!!!!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る