第15話 自分ではない誰か
パラッパラーはトウモロコシを高島の口元に押しつけた。
「ふごっ⁉︎ふぁ、ふぁんだ⁉︎」
「付き添いが自動で口元に食事を運んできてくれるから、作業しながら食事ができる」
「ふぁ、ふぁるほごね」
パラッパラーはトウモロコシを回し始めた。高島は口を動かしているだけで食べれることに感動を覚えた。
「おぉ、すげぇ」
トウモロコシが食べ終わると、今度はコンソメスープを持ってきた。
「(熱すぎない!なにも気にせずに飲んでも安心だぁ〜)」
「おいなに感心しちゃってんだよ」
サキスがツッコんだが、高島はなにも気にせずに作業をしていた。
こうして時がすぎ、1ヶ月。もうほぼ冬である。
「………どれくらい作業しただろうか」
サキスはわざと高島に聞こえるように独り言を言った。
「なぁに、まだ数時間くらいじゃん?」
「もう1ヶ月経ってんだよ!!!!!!窓がねぇから季節感が感じないだけで、もう冬なんだよ!!!!!!」
「それくらい時間を忘れて作業できるんだよ。ホワイト企業じゃん」
「洗脳して作業させるある意味ブラック企業だよ。しかし洗脳されている本人はホワイト企業だと思っている。結局なにも真実を知らないまま過労死していくんだよ社畜は!」
しかし高島はヘラヘラした態度でサキスに言った。
「寄生虫でも洗脳はできないみたいだな」
「……確かに、一部の寄生虫は洗脳できるけど、なんで俺はできないんだ?まぁいいから、早くやめようぜ!!!!!!」
「なんでよやだよ!!!!!!」
「おい早くしろよ」
「⁉︎」
いつもよりもキレた声でサキスは喋った。
「……わかったよ……」
圧という洗脳は強い。
「わかったわかった」
「おいそこなにしてる!!!!!!」
スタッフに気づかれた。
「えっとですねぇ。僕この会社やめようかなぁって、アハハハハハ冗談ですよ〜」
「は?お前シュード様を見捨てる気か?」
「え⁉︎」
スタッフは高島を謎の部屋に連れてきた。
「この機械に首を突っ込め」
「な、なんでですか⁉︎」
「忘れたのかよ。寄生するときもそうしたじゃん。いいから早く!!!!!!」
しぶしぶ高島は首を突っ込んだ。首の上ではなんらかの機械が動いているのだろう。音でわかる。
「(なんだ………?)」
謎の突起物が首元を押さえつけた。高島の首元に緊張が走る。冷や汗が止まらない。
「………一応いるのか……よかった」
「な、何がですか⁉︎」
「お前のことだよ」
「はい⁉︎」
「お前、このガキに寄生してるだろうが!忘れたのかよ、シュード様に街中の人間に寄生しろって命令されただろ」
この発言で高島は、このスタッフは自分ではない誰かと会話しているつもりなのかもしれない。と、思った。
「………?(もしやサキスか⁉︎)」
「大丈夫そうだな。よし仕事に戻れ」
「おい仕事に戻るな。反抗しろ反抗期のように」
「まだ反抗期じゃねぇよ!」
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