第27話 星の戦士の”聖血”2
「かかれ!!あの軟体生物に星の戦士の血を引く我らの力を示せ!!」
「「「おおおぉ!!!」」」
女性騎士たちは光り輝く刃を振り回しながら、ツァトゥグァの落とし子へと切りかかっていく。その刃が無形の落とし子に突き刺さった瞬間、まるで爆薬が炸裂するようにツァトゥグァの落とし子の粘質状の肉体が弾け飛ぶ。
彼女たちの肉体に流れる”星の戦士”の血は狂魔にとっては天敵そのものである。
それが流し込まれれば当然こうにもなるだろう。
特に、その中でも強い血を引くアリシアの一撃は、ツァトゥグァの落とし子の肉体のほぼ半分を吹き飛ばしていた。
『舐めるなぁ!来たれり! 敬愛する主ツァトゥグァよ、夜の父よ! 栄光あれ、太古のものよ、外なるものの最初に生まれしものよ!』
その魔術師の顔の詠唱により、ツァトゥグァの落とし子の肉体はぶくぶくと膨れ上がり、次々と液体上の肉体が復活していった。
いや、それどころかさらにボコボコと音を立てて膨れ上がっていくほどだった。
それを見て、アリシアは思わず舌打ちをする。
(これを使うしかないか……。)
彼女は、剣の柄に内蔵された針を取り出す。この注射針を手首に突き刺す事により、そこから滴り落ちる血をそのまま武器に流し、それを狂魔に叩き込む。
彼女たちの最大の技ではあるが、持久戦になれば出血多量で彼女たちの肉体の害になりかねない技である。
だが、詳しい事情は知らないが、アリシアが妙な動きをしているのも、彼女たちが苦戦をしているのも理解できる。それを見ながら、エルは自分にも何かできることはないかと考え込む。
(いや、彼女たちだけに戦わせているわけにはいかない。何か自分にも戦う手段はないものか……。)
そんな風に考えている間にも、アリシアは自らの手首に剣の柄頭から生えたケーブルの先にある針を突き刺す。どくどくと流れる血が拳を通して剣の刃へと流れこみ、さらなる刃の光が溢れ出す。これこそ、星の戦士の血を強く引く王家の血の持ち主の力である。
「消し飛べぇえええ!!」
その流れる血から溢れる星の戦士の神力。旧神の力の刃は、ツァトゥグァの無形の落とし子を粉微塵に吹き飛ばし、粉砕する。
いかに落とし子といえど、星の戦士の力には対抗するには難しかったらしい。
うおおおお!やった!さすが我らの騎士団長!!と歓声があがった。
だが、それに答えるように、ずずず、と不気味な地鳴りが響いた。
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