第22話 お風呂に入ろう2

「えぇ……?一緒に入浴?いや、それは流石に……。」


 流石に彼でも男女が一緒に入浴するのはまずいことぐらいは知っている。

 これが普通になったらせっかく礼拝堂での乱交を正したのが元に戻ってしまうかもしれない。だが、彼女たちもさるもの。エルの心を刺激するポイントはすでに掴んでいるのだ。


「お願いします聖者様!聖者様直々にお背中を流してください!そうすれば我々の精神回復に繋がるのです!私たちの事を思うのならぜひ!!」


 その女性騎士の言葉に思わずえぇ……という顔になってしまうが、精神回復の方法はそれぞれの人間によって異なる。異性と入浴し、やる気を回復させるというのは確かに一理あるだろう。……まあ、問題はどこからどう見ても風俗だが。

 しかし、それで彼女たちの精神力が回復するというのであれば、人の心の癒しを与える彼としては拒否するわけにはいかない。

 土下座して頼み込む彼女たちに対して、エルは困ったようにうーん、と考え込む。


「うーん。まあ、それで皆の心が癒されるのなら……。」


「うおっしゃあああああ!!」


 そのエルの言葉に爆発したかのように、女性騎士たちは歓声を上げる。

 覗くだけで満足できていた彼女たちが、ばれても怒られもせずにダメ元で言ってみた混浴にオッケーが出るとは、まさに大勝利そのものである。


「だ、ダメだよパパ!こんなケダモノどもの群れと混浴なんてしたらパパが絶対手込めにされるよ!!絶対にダメ!!」


「そうですわお兄様!こんな奴らの口車に乗せられてはいけませんわ!!」


「あれぇ~?団長も副団長も一緒に入らないんですか~?せっかく同じ騎士団のよしみで一緒に入ってもいいと思っていたのに……。」


「パパと一緒のお風呂なんて入るに決まってるじゃない!モラル?そんなの知りません!!」


「そうですわ!!お兄様と親睦を深める機会を逃すわけにはいきませんわ!!」


 アリシアたちは、そんな女性騎士たちの声に綺麗に手のひらをひっくり返して彼女たちに賛同した。一緒に入れるという絶好の機会を逃したくなかったのだろう。

 そんなこんなで、なし崩し的に皆で浴槽に入る事になった。


「……狭い。狭くない?」


 浴場に入った彼女たちは、皆エルの体にぴったりとくっついているのだ。妥協案として、タオルで体を覆った女性騎士たちだったが、それでもその豊満な肉体がくっつかれては、その肢体の柔らかさから興奮するのは待ったなしなのだが……。


「ぐへへへ、聖者様の体はやっぱり素敵ですのう。」


「聖者様のお身体柔らかくて最高~!」


 ぐへへへ、ゲヘヘヘと言わんばかりの女性騎士たちの鼻の下を伸ばしきっただらしない顔と、こちらの肉体を撫でるいやらしい手で興奮など欠片もなかった。

 彼女たちは鼻の下を伸びきった顔でエルの体を堪能しているが、それに面白くないのは、アリシアたちだった。


「どきなさい!パパの体にいやらしく触るな!!パパは私と仲良くしてくれるの!!」


「そうですわ!お兄様は私に優しくしてくれると言ってくださったのです!あなたたちだけずるいですわ!!」


 あーっ!お止めください!さすがにそんな大人数で裸でおしくらまんじゅうされてしまうと風紀的な何かがやばいです!せっかく戻した風紀が!あーっ!!

 そんな風にわちゃわちゃしていると、修道院長のクラリスがやってきて皆を纏めて一括してくれましたとさ。ちゃんちゃん。

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