第20話 『星の精』退治2
「うおおお!ブッ倒したぞ!ざまぁみろ!騎士団最強!!」
肉体の大半を吹き飛ばされて、体液を撒き散らしながら地面に倒れている星の精の残骸を見ながら、彼女たちは剣を振り上げて歓声を上げる。その歓声を聞いて、家に籠っていた村人たちも出てきて同じように歓声を上げる。
村を苦しめていた怪物をいともあっさりと退治してくれたので、それも当然だろう。
だが、そんな受かれている騎士たちに対して、アリシアから叱責が飛ぶ。
「油断するな!まだ潜んでいる可能性もあるぞ!パパ……じゃない聖者様!探知の呪文を!!」
了解、と言って再度敵感知の呪文を唱えるエル。と、いきなりアリシアのすぐ後ろに敵が来ているのを感知してしまう。どうやら、戦いの混乱に紛れてそこまで接近していたらしい。
それを知ったエルの行動は早かった。
「アリシア!下がって!」
エルはとっさに手に
精神剣は、精神世界でも現実世界でも問題なく使用できる彼の技である。
いかに狂魔と言っても、精神エネルギーを刃にした一撃はそれなりのダメージになる。
思わず悲鳴を上げる星の精に対して、女性騎士たちは怒りの声を上げる。
「聖者様!お下がりください!」
「舐めるなクズが!殺せ!聖者様と団長に手を出した化け物は殺せ!!」
怒り狂った女性騎士たちが武器を振りかざしながら星の精へと一斉に突っ込んでいく。いかに怪物とはいえ、ネタがばれてしまっては元も子もなかった。
女性騎士たちの集中攻撃を食らい、二体目の星の精は叩きのめされて体液を吐き散らしながらその死体をさらす。
そして、そんな中、アリシアはエルの胸に抱きしめられて陶然とした顔をしていた。貞操逆転世界のこの世界では、彼女からしてみれば、男性が巨乳で美人の聖女に抱きしめられているのと同じ感覚である。思わず顔を陶然としてしまうのも不思議ではなかった。アリシアは彼の胸元にゴロゴロと頬すりをしながら甘えた声でおねだりをする。
「パパァ♡パパァ♡怖かったよぉ♡よしよししてなでなでしてぇ♡」
「よしよし、アリシアは頑張ったね。とっても偉い子だよ。」
エルは、アリシアの精神安定のために彼女の望み通りに彼女を抱きしめながらよしよしと頭を撫でる。ほにゃあ、と彼女はこの上なく幸せそうな顔をするが、それをほかの女性騎士たちは見逃さなかった。
「聖者様!私も!私も褒めてください!!」
「お兄様!私も迅速に褒めてください!でないと拗ねてしまいますよ!主に私が!!」
我も我もと言わんばかりに一斉にエルたちに群がる女性騎士たち。ともあれ、女性騎士たちの猛攻撃を受けて、こうして星の精は退治された。
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