第2深層-2
鍵が掛かっていなかった部屋に入る。
図書館のように並んでいる本棚から溢れた本があちらこちらで山を作っている。本棚の裏に掛けられた鏡を覗き込んでみた。
「鏡さん、ここから出る鍵はどこにあるんですか?」
『鍵はいつだって君の中にある。ここの鍵は記憶の水底に沈んだ君を守るためだけに』
鏡は遠回しにしか答えない。
外の様子に注意しながら本を見ていくと絵本を見つけた。開くと、動物達と水浴びをしているお姫様と、木の影からそれを見つめている王子様が立体的に現れた。お姫様が映っている水を見てみると、池の底に鍵が描かれていることに気が付いた。
お風呂場を探そうと部屋から出ようとした時、扉が、開いた。
「――!」
私を見つけた男がゆっくり猟銃を構える。私が咄嗟に本棚の影に隠れた瞬間、発砲音が空気を震わせた。
「……っ」
大きな音でくらくらする頭を支えながら見ると、男は撃った反動で猟銃から手を離し尻餅をついていた。
私は急いで男の横をすり抜けると廊下を駆けた。
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