第2深層-1
廊下へ踏み出し、扉を閉める。念のため鍵を回すと、ガチャリと音を立てた。閉まったのか確認してみると、扉の先は私の部屋になっていた。
なにも変わらないように見える廊下を見渡し、鏡に話し掛けてみた。
「鏡さん、ここはさっきとは違う場所ですか?」
『彼は鈍感だ。ここにいる全てが君であり、ここの全ては君だ。君は君でしかない』
「……」
相変わらず答えにはなっていない。恐らくさっきの影のようなものがここにもいるのだろう。
開けられる扉を調べようとした時、コツン、と、杖をつくような音が聞こえた。急いで音と逆の方へ走り、花瓶が置かれた小さな棚に隠れながら様子を窺う。
顔に影が掛かった男の人が、猟銃を杖のようについて歩いていた。男は私の部屋まで行くと、ゆっくり扉を開けた。部屋には入らず中を見渡し、中に誰もいないことを確かめると、扉を閉め、再び歩き出した。
私は男が隣の部屋の扉を開けたところまで見届けると、足音を立てないよう静かにこの場を去った。
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