第二話
「ほい麦茶」
「うん。ありがとう」
飲み物が欲しいということで一階から取ってきて飲み物を渡した。
「ふぅ……」
「――すぅ」
俺も一口飲む。
恋人か……。 数分経ったが実感がない。
相手が多分日奈だからだろう。
本当にそんな素振りは一切なかった。
いつからなんだろう?
そんな思いを考えながらしたから冷蔵庫にあったプリンを日奈のところに寄せる。
「下からプリンあったから食うか?」
「おー食べる食べる!」
プリンを拾って容器を剥がした目がキラキラと輝かせている。
ホント可愛いな。
「なあ、聞いてもいいか?」
「ん? なに?」
「俺のこと好きになったきっかけとかってあるの?」
気になるといえば気になる。
そういった、ぐいぐいアプローチなんて本当になかった。
いや、さっきも日奈が言ったが告白しようとしたが先延ばしだと言ってたが俺が気づかないだけであったのかもしれない。
「んーまあ自覚というか鬼ごっこ昔してたじゃない?」
「ん? 鬼ごっこ?」
「え? 覚えてるでしょ?」
「覚えてるけど鬼ごっこで何かあったか?」
「んーまぁ、そんでさっきの続きなんだけど私が鬼になって空太にタッチ出来るってところで手を触らなかったんだよね……」
「触らなかった?」
「そうなんだよ手をタッチだ! ……あれ? こうゆうの握る男の子って気にするだよね。空太……男の子? あれ? 魅力的に見えるぞ。あぁ、好きになったんだなっと……以上!」
「え、そんな感じ?」
「そう。そんな感じが好きになったきっかけ」
「んん…なるほど」
「こう言うのの初めてだけど空太の方は私にそういった感じとかあったりしたの?」
「俺か?」
「うん」
「まあ、ある」
「……あるんだ」
「俺もあれだぞ好きになったきっかけとか些細なことだぞ」
「良いよ聞きたい」
「小さい頃にどら焼きを数個食べてて。残りの一個を分けたんだけど美味そうに食う日奈を見て可愛いなって好きになった。それで笑顔で見れるだけで幸せだったな。さっきプリンを食べると言って笑顔でワクワクしてる顔とかな」
「えっ、おぉ……おぉ」
なんか予想外なこと言われたみたいでビックリな顔していた。
「こんな風にまさか恋人になるなんてな」
「ねぇ私もまさかオッケーされるとは思いもしなかったんですよ旦那」
「そういったアプローチはなかなか見なかったと思うんですよお嬢」
「んーまあ、ガツガツと攻めるのが苦手かな。私がされたら嫌だし。けど好きだって言える時があったらする。それで空太に断られたらしょうがないな〜と」
「おぉ……」
「ホント嬉しさが今さヤバいんだよ」
プリンを口一杯に頬張りパクパクと食べていた。
ホント可愛いなこいつ。
「なんかやりたいことある?」
「やりたいこと?」
「そっ、恋人が出来たらまずやりたい」
「んっ……その、手を握りたい」
「えっ? そんなんで良いのか?」
「うん。空太と恋人になったら1番やりたいことだったから」
「そっか。ほい」
スッと日奈の方に手を出す。
「え、良いの? 手を握ってもいいの」
「いいよ別に。ほいっ」
「じゃあ……」
差し出してきた手を握ってきた。
……あれ?
凄く嬉しい。
「……なんか、いつも気軽に握ってるのと違うね」
「だな。いつもだと普通に握っているのになんか暖かい」
「うん」
今握っているのがいつもの日奈じゃなくてなんて恋人ととして側にいる日奈なんだと思うと気持ちがソワソワしている。けど好き。
「うん。好きだな日奈のこと」
「おっ!? ……私も空太のこと好きだよ」
「んんっ」
好きと言われなれてないからなのかどう反応して良いのか少し戸惑う。
「えへへ」
あーその笑顔が見れるだけで1日良かったと思えるな。
もっと見てみたいなと思ってしまう。
買い物でも誘ってみるか。
「明日。休みの日買い物デートでも行くか」
「えっ!? デート行く!」
「おぉ」
まさか速攻でオッケーが出るとは……。
「じゃあ明日のためにデートの準備してくるね! お邪魔しました〜!」
「えっあぁ、また……」
あっという間に帰ってしまった。
「……プリン残っているじゃん」
いつも日奈が食べれないとなったら俺に寄越すから間接キスなんて今さらでもない。
「あまっ」
……そう言ってもあーんとかちょっと期待してるはいうまでもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます