私と付き合わない?

二髪ハル

第一話

「空太。この漫画の続きってないの?」

 従姉のかもめ 日奈ひながこっちを見ながら聞いてきた。

「どれ?」

 俺、かもめ 空太。ゲームを一旦中断し、日奈の方をむいた。

「……あぁそれが新刊」

「りょ」

 用件だけ聞いてまた日奈は漫画の続きを読み返した。

 同じ苗字なのは大したことはない俺の父親と日奈の父親が兄弟で苗字が俺たちに受け継いでるだけの話。

 けれど初めて聞いた人からしたら兄妹だと勘違いされんだよな。まあ同じ年で二か月しか違わないけど。

 それに学校で知り合いの人がいるが未だに兄妹だと言ってきて後クラスメイトから兄妹だと誤解されるんだよな。まあ日奈の家は俺の隣にあるし、毎日のように俺の部屋に遊びに来るから妹みたいな存在だっていうの間違えではない。

「ねぇ空太。私と付き合わない?」

「……ん?」

 日奈のやつなんて言った? 付き合う?

 これは漫画でよく見かけるセリフだけどこれは買い物のことだ。

「なんか欲しいものでもあったのか?」

「え、あぁ違う違う。そっちじゃないよ」

 ……違う?

 てっきり新しい漫画の買い物かと思ったんだが。

「違うってなにが?」

「んん、まあ私たちさ高校生になったじゃん」

「あぁ」

 今年で高校二年だけど。

「そんで高校生になったら恋人ととして付き合いたいなーと思って」

「……え?」

 何を言ったさっき? 恋人? 付き合いたい? そう日奈が言った。

 ……言った。

「え、俺?」

「うん」

 小さくコクンッと頷く。

「え、その聞くんだけど俺のことさ恋愛対象として好き、だったの?」

「うん、好きだよ。小さい頃から。そんで高校生になったら付き合いたいと告白しようと思って、今言った。今までいつかだって思ってたら先延ばしになってたし……」

 ポンと本をたたみ顔に近づけ顔を隠した。けど、バレバレで真っ赤になっていた。 

「それで今、さ返事とか来ても良き?」

「え、おぉ?」

 返事……。

 日奈の言葉に流石に驚きが隠せなかった。

 小さい頃から。ホント何事もなくそれこそ恋愛感情さえあると思ってなかった。

 妹みたいな存在だと……。

 そう妹だと……思い込んでいた気持ちはあった。

 昔から遊んだり。転んだのを起こしたり喧嘩をしたりそういった仲。

 食べ物とか仲良く分けて美味しそうに食べて笑顔が見れるところが好きだと……。


『……好き』

 

 好きと好意を持ってくれたことが嬉しかった。日奈のことが好きだと……。

 そうか好きだったんだな。俺、日奈のこと。

 ただそれだけなのに気づかなかったんだなホント。

「わかった聞いてくれ」

「え、はやっおぉ……はい」

 返事を返す。

 気持ちでは簡単なことだ。けど、意識して感情的になってしまうと気恥ずかしい。

「俺も昔から大好きです。だからお願いします」

「うん、うん。うぅ……」

 日奈の顔見るとボロボロと泣き崩れていた。

「うぅ……よかった。よかったよ好きって空太に告白して本当に良かった……」

 こうして泣いて喜んでいる姿を見てみると本当に好きだったんだなと俺の中の気持ちが嬉しいとざわつく。

「まあこんな俺だが改めてよろしくな日奈」

「……うん。よろしくね空太」

 俺に彼女が出来ました。

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