お妃さまと翻弄

 お妃さま お妃さま。


 断頭台に首を落としたお妃さま。


 少女時代に我が祖国の頂きに君臨し、そして我が祖国の土に埋葬されたお妃さま。


 私の手引きで先回りしていた民に捕まり、まもなくして引導を渡されたお妃さま。


 我が祖国の絶対なる守護を司る私の家は、あなが嫁いで下さるずっと前から王権の限界を悟っておりました。


 お妃さま お妃さま。


 かつては間違いなく純粋な国の母であろうとしたのに、気づいたら怠惰に堕ちていたお妃さま。


 我が祖国を愛してくれようとしたあなたの目を塞いだのは私なのです。

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