お妃さまと分岐点

 お妃さま お妃さま。


 私ごときを王家の庭へと招きいれて下さるお妃さま。


 職人が丁寧に整えた庭に料理長が手ずから作った弁当を広げ、家族と一緒に『ささやかな』昼のひと時を過ごすお妃さま。


 いつも公務と賭け事で忙しいあなたがようやく得た家族との時間は、さぞやかけがえのないもののことでしょう。


 お妃さま お妃さま。


 嫁いできた頃、扇の隙間からそっと荒れた国土を覗いたお妃さま。


 その時見た景色、最期の日には覚えていましたか。

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