『先陣行動』

「さて、任務を受けたはいいですが…これからどうしましょうか」


アイギスはそういった。

ゆっくりと廊下を歩きながら他の二人の方に視線を向けている。


「それは、もちろん…日継様に、なんとか、その…エッチな、ことを」


レディノヴァは先ほどの 任務の内容からして日継零児との成功を考えるがしかしそれを考えるだけで恥ずかしいのか何とも口ごもってしまう。


「ダメ…そんなの許さないの、私以外の、女が、あの人に触らないで」


シャルルは たとえ同様であろうとも日継零児に触れて欲しくはなかった。

彼女の口調は日継零児を愛しているが故のものだった。

しかしだからといってそれだけで日継零児を諦めるというわけにはいかない。


「しかしシャルル、そんなことを言ってもこの任務は私たち3人に向けられて発令されたものです。あなた一人だけの問題ではありません」


アイギスはシャルルを諭すようにそういった回る今回の任務は彼女だけに向けられたものではない司令官は 小隊である3人に向けてこの極秘任務を発令したのだ。


「そんなの関係ない…私…私だけが、あの人に汚されてもいいの」


まるで子どものようなやりとりだ。


「それはあなたの勝手な思い込みでしょう」


レディノヴァは傘を杖のようにしながら歩きつつシャルルにそういった。


「思い込みなんかじゃないの、私の体は、あの人を喜ばすためだけにあるの、だからあの人の大切にしてきた貞操は…私の体で捨てて貰うの」


彼女の言葉に対して アイギスは 意外そうな表情をしながらシャルルの方に顔を向けた。


「待ってください、日継隊長が貞操だというのは、本当なのですか!?」


想定外の事実に眼鏡は思わず声を荒げていた。

すると自分しか知らない情報に対してシャルルは得意げに言う。


「何?知らないの?あの人はまだ一度も女性を抱いた事はないの」


日継零児は生まれてから一度も女を抱いたことはなかった。

それは青春時代に機械生命体との戦争が始まり兵士として参加した日継零児はそういった 女性を抱くと言った イベントはなかったらしい。

シャルルの言ったことに対して レディノヴァはどこか嬉しそうな表情をしていた。


「そうなのですか、初めて、知りました…そっか、そうなのですね」


「レディノヴァ、貴方は一体、何を嬉しそうにしているのですか?」


「どうせあの人の初めてを奪うことを考えているの、全くいやらしい女なの」


白々しいと視線を レディノヴァの方に向ける。

すると彼女は顔を真っ赤にしながら首を左右に振って否定した。


「ち、違うわ!私はそんなこと考えていません!勝手に人を淫乱扱いしないでください」


「彼女が淫乱か淫乱かじゃないかはどうでもいい事です、とにかく任務を優先しなければなりません」


そう言ってレディノヴァの言葉を無視して アイギスは 立ち止まり二人の顔を見た。

誰が率先して日継零児にアプローチをするのか 聞いてみる。


「では、あなたはが行きますか?」


アイギスの視線はシャルルに向けられていた。


「私が、あの人の貞操を奪いに行く、の?」


「はい、あなたは、一番でなければ嫌なのでしょう?」


それは若干偏見のようなものにも見えた。


「そうとは言ってないの、ただ私はあの人が私以外に汚されるぐらいなら私が汚そうと思っているだけ」


この場の誰よりも日継零児に依存している彼女。

しかしそのような言い訳をするほどに彼女もまた初心ではあった。


「では、日継隊長に抱いて下さいと言ってこないのですか?」


「それとこれとは話が別、まだ心の準備があるの」


そう言って シャルルは初めて乙女らしい表情をして表情を赤らめた。

胸に手を添えると心臓の音が激しく鳴り響いている。

アイギスは今度はレディノヴァの方に顔を向けた。


「それではレディノヴァの方はいかがでしょうか?」


「私!?わ、私だってまだ、まだそういった知識がないんです、もう少し様子見させて下さい」


二人のへたれた具合を見てアイギスは ため息をついた。


「あなた達は、そんな様子でよくもまあ…日継隊長の一番じゃなければ嫌だと言えたものですね」


呆れた表情を浮かべる彼女に対してムッとした表情を浮かべて反抗する シャルルとレディノヴァ。


「何なの、アイギスは違うっていうの?」


「私は…どうですかね、ただ日継隊長が相手であったとしても別段嫌という感情はありませんし、逆に日継零児は、私の事を、どう思っているのでしょうかと、思うことはありますが…」


それが傷つくことである。

しかしアイギスは眼鏡を調整すると先陣を切ることにした。


「しかし私は、私に与えられた任務を遂行したいと思っています、なのでお二人ともが心の準備ができていないのだとすれば、まずは私が日継隊長の元へと向かいそして話をしてみるつもりです」


「話…本当に話だけ?」


レディノヴァがいかがわしい表情しながら彼女に聞いた。


「そう言っておいていきなり襲いかかるんじゃないの?」


シャルルも疑わしい表情をして アイギスに聞く。


「そのような野蛮な真似はしませんよ、まあ見ていてください」


こうして、 最初に日継零児にアタックするのはアイギスということになった。


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優秀なヒロインたちに与えられた任務は、最強の英雄の子供を産む事だったが、戦地では優秀だが恋愛面では初心にも等しいらしい。機械文明現代ファンタジー 三流木青二斎無一門 @itisyou

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