第三章 ハサミ女 2
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急に起き上がると、体がばきばきと痛んだ。全身を継ぎ接ぎにされているかのような不安定な感触。だが、不思議な事に、怪我をしたであろう腕や太腿に包帯は巻かれていなかった。
周囲を見回す。どうやら、病室らしい。室内の電灯はついておらず、カーテンの隙間から月明りが差し込んでいる。部屋にはほかにベッドもなく、個室のようだ。
「起きた?」
「うわあっ!?」
全く気配を感じなかったのだが、煌津のベッドの傍にあった椅子に座って、頭や腕に包帯を巻いた那美がスマートフォンをいじっていた。巫女装束ではなく、私服だ。髪も銀髪に戻っている。
「九宇時さん、何でここに……」
「眠れないから、こっちで番でもしてようかと思ってね。今、式神も呼べないし。襲ってくるなら、まとめて返り討ちにしたほうが楽だし」
いつの間に取り出したのか、リボルバーを片手でくるくると回して那美は言う。
「全然気付かなかった」
「ああ。普段から術で気配を薄めているから。ほら、学校とかで目立つと退魔屋の活動に支障が出るでしょ。面倒くさくてね」
「それで学校でも見つけられなかったのか……」
「センサーの問題だから。同業者とかには効かないけどね」
何でもない事のように、那美は言う。
「……ていうか、その怪我」
「ハサミ女にやられた。呪力で斬られたから魔力の循環がおかしくなっている」
「いや、その、痛いとかは……」
「ああ、そういう」
那美は少し笑った。
「まあ痛いは痛いけどね。魔力の循環さえ元通りになればすぐに治るよ」
「そういうものなの……?」
「現に穂結君の体が、そうやって治っているでしょ」
煌津は入院着をまくって、自分の腹を見た。ハサミ女のハサミが突き刺さったはずなのに、うっすら線が見える程度だ。
「難波さんの店で起こった事は、地下ガスが漏れた事故として処理されている。この病院は霊障関係の被害者も扱うところだから、難波さんたちも、柳田先生もここに入院している。穂結君のご両親も来ていたけど、体に異常はないから一日入院って事で説明してあるって」
「そうか。それなら、いいんだけど。……千恵里ちゃんは?」
「ご両親についてきているね。気配がする。この病院の中なら安全だよ。結界が張ってあるからね」
「先生は?」
「眠っている。穢れは取り除いたから、あとは回復待ち」
スマートフォンを仕舞い、那美は煌津に向き直る。
「いくつか聞きたい事があるんだけど」
「……えーと、どれから」
「ビデオ」
那美の目が煌津のベッドの傍に置かれたショルダーバッグに向けられる。煌津はバッグを手に取り、チャックを開いて中身を取り出した。
真っ黒なビデオテープには見覚えのないラベルが貼られていた。『変身』と書いてある。月明りにビデオをかざすと、内側で神経のように張り巡らされた、色とりどりの魔力の線が見えた。
「このラベルは」
「お義父さんが現場から回収した時にはすでについていたみたい。たぶん、穂結君がそれで『変身』したから、変身用のテープとしての
「変身……」
あの包帯姿の事だ。自分の体ではないかのような運動神経と身体能力の向上。それに攻撃的な高揚感。
「穂結君。ビデオデッキ、出してみて」
「え?」
那美はじっと煌津の腹の辺りを見つめている。
「あの、そんな見つめられても……」
「早く。自分の意思で出せないと、いざというとき助からない」
那美の目はあくまでも冷静だ。確かに、次にあのハサミ女が出てきた時に、包帯姿になれないのはまずいだろう。
「……わかった。やってみる」
ふん、とお腹に力を入れる。特別に体を鍛えていたわけではないので、六つに割れた腹筋が出るわけでもない。ビデオデッキも出てこない。
「ふんっ、ふんっ」
那美はその様子をじっと眺めている。出ろ、出ろと念じながら力を入れるが、一向にビデオデッキは現れない。
「あの、ごめん。出てこな――」
「魔力を感じ取れていない」
口元に手をやったまま、那美が言った。
「穂結君も循環が乱れている? いや、違うな。センサーがうまく働いていないんだ」
「あの九宇時さん――」
リボルバーをホルスターに仕舞った那美が立ち上がり、ベッドの上の煌津にまで近付いてくる。
「あの、あの!」
月明りしかない部屋の中とはいえ、間近で見ると那美は美人だった。否が応にも心臓がどくどくと鳴る。
「静かに。目を閉じる」
右手の人差し指と中指を伸ばして、那美がその先端を煌津の額につけた。
何だかひどく心臓がバクバクする!
「あああああ、あの、あの!」
「目を閉じる。早く」
「わかった! わかったって!」
ビデオを抱えて目を閉じる。見えるのは瞼の裏側の暗闇だけだ。
「軽く魔力を送るから、まずそれを感じ取って」
「オ、オッケー!」
額に何か温かいもの感じた瞬間、煌津の意識が切り替わる。暗闇の中を、桜色の光の球が落ちていく。煌津はその様子を閉じた目で追った。体の中で、細胞の一つ一つが動き出していた。赤や、緑や、黄色や、青の細い糸。それらが桜色の光球を追って、暗闇の内側から伸びてくる。魔力の線の一本一本が、煌津の中の暗闇を照らしていく。
煌津の視点は、海中を進む探査艇のように自身の意識の中へと潜っていく。
「あ、何かある」
「見えた?」
「うん。何か、四角い……魔力の線で出来た感じの……」
「その四角いのに魔力の線を集めてみて。より正確に言えば、魔力は常に体を循環しているから、穂結君はその流れを認識すればいい」
中華料理屋でやった要領を思い出す。魔力の線の一本一本が、辺だけで形作られた四角い箱に流れて、出ていくのが見えた。
「ボタンがあったはず……」
ぼんやりと煌津は呟く。魔力の線が〇を描き、【再生】ボタンや【早送り】ボタンが出来ていく。いやボタンだけではない。まるで本物のビデオデッキが煌津の中で製造されているかのように、細かなパーツの一つ一つが、魔力の線によって描かれていく。
「――っ!」
お腹の下に鈍い衝撃を感じる。入院着をまくると、腹部にあのビデオデッキが現れていた。
「九宇時さん! 出た、出たよ!」
「うん。いいね。綺麗に出ている」
言いながら、那美はビデオデッキを指でなぞり、ビデオの取り出し口の蓋を指でパカパカと開閉する。
「あの……パカパカしないで」
「え? ああ、気になる?」
「何か、すごくその、くすぐったい」
「そうなの?」
言いながらも、那美はまだ蓋をパカパカ開け閉めしている。
「パカパカしない!」
色んな意味でくすぐったすぎて思わずちょっと大きい声を上げた。
「わかった。ごめん。パカパカしない。もうしないから」
言いながら、那美は両手を挙げて降参のポーズをした。
「宮瑠璃の魔力を感じる」
ビデオデッキを見つめながら、那美は続ける。
「宮瑠璃の魔力って?」
「うちに来た時にお義父さんが話していたでしょ。宮瑠璃市には、歴代の術者が張り巡らせた魔力のネットワークがあるの。宮瑠璃にいる退魔屋は皆、街のネットワークと接続していて力を得ている。怪異があればそれを察知出来るし、術に使う魔力のサポートも得られる。代わりに私も、自分の魔力を使って、定期的にネットワークの維持や補修をしなければいけないけれど」
「……俺も宮瑠璃の魔力ネットワークに接続しているって事?」
「どころか、そのビデオデッキの骨格は宮瑠璃の魔力で出来ている。あとは魔物喰らいの帯が吸収した魔力で肉付けされている感じ。宮瑠璃の魔力と異界の魔力のハイブリッド、みたいな」
煌津は自分の腹に出来たビデオデッキの蓋をパカパカと押した。
「俺、まだ人間かな?」
「ええ。体にビデオデッキが出来ただけ」
那美は事もなげに言って、ベッドの上にあった変身のビデオを手に取る。
「再生も出来る」
「いや普通の人間の体にビデオデッキ出来ないよ! お腹も刺されたのに傷口もないし!」
「魔力の多い人間は怪我の治りが早いんだよ。穂結君は元々、大量に魔力吸っていたからね。今ならまだ傷の治りも早い。でも、ずっとじゃない。自分の魔力を維持して貯められるようにならなきゃ」
「俺も退魔屋になるって事……?」
那美が厳しい顔をした。
「少なくとも退魔屋並みの訓練は必要ね。そのビデオデッキや、魔物喰らいの帯をコントロール出来るようにならないと。穂結君も、もう狙われているだろうし」
「狙われている……?」
那美は立ち上がった。
「今日はもう寝て。明日は特殊な場所で訓練をする。それから……」
少し言い淀んだあと、那美は続ける。
「ハサミ女の話をしよう」
翌朝、朝食を終えた煌津は、病院の屋上へ呼び出された。風が強く、那美の銀髪がなびいている。
「ここが特殊な場所?」
「いいえ。――
那美が屋上の何もない宙を素手で叩くと、空間に波紋が広がり、異層転移のように波紋に色がついた。
「ここも訓練場に繋がっているの?」
「そう。霊的に不安定な箇所を少しいじって繋げたの。いざという時の避難経路にも使えるしね」
言って、すたすた那美は波紋の中に入っていく。
波紋の中は何もない白い空間になっていた。どこまで部屋が広がっているのかもわからない、白い空間。
「いい? 時間はないけど、やる事は多いから順序立ててやっていく。午前中の課題は二つ。最初は訓練から。まず、これに一時間」
「一時間? そんなんで身に着くかな……」
「現実世界での時間は一時間。でも訓練内容は、そう、だいたい一年分くらい」
「一年分?」
「それでも足りないくらいだけど、今はそうも言っていられないからね。敵がハサミ女だし」
那美は言いながら、宙に手をかざす。すると、光の粒子のようなものが高速で集まって、やがて星のようになり、それから、バン! と爆発音を立てて、一本のビデオになった。ラベルには『教習用』と書かれている。
「これは……?」
「穂結君が魔力や呪力をビデオにするのを真似て、訓練場のデータから基本的なものをビデオ化したの。ここは訓練場の一つ、《
那美は煌津に教習用のビデオを手渡した。
「ビデオを入れて再生して。武術の動きだとか魔力の生成法や維持の方法、コントロールとかが頭に入る」
煌津はビデオに目をやり、それから腹部に意識を集中する。ほどなくビデオデッキが出現した。
「お腹がもやもやするのもちょっと慣れてきたよ」
「それは良かった」
那美が手を振ると、座り心地の良さそうな椅子が現れる。
「九宇時さんは?」
「穂結君がビデオ見ている間、待っている。病み上がりだし」
「何もしないの?」
「失礼な。見守ってあげている。ビデオも用意したし」
「まあ、そうだけど」
「オーケー。ではよろしく、ベイビー」
何だか釈然としないような気もするが、まあとにかく今はビデオだ。煌津はビデオをデッキの中に入れて、再生ボタンを押す。
「ああ、言い忘れていたけど。情報量、かなりきついから気を付けてね」
「いやそれ、言うの遅――!?」
そんな返答をする暇もない。頭の中に次々と情報が流れ込んでくる。それは武術の型であり、魔術や妖術といったものの基本概念であり、異界についてであり、言葉の意味の一つ一つだった。体は勝手に動いていた。武術の型を真似るのは元より、ビデオの中で再生される様々な怪異事件のシミュレーションを体験させられた。まるでロボットのように煌津は動いていた。意識は飛ぶというより、ビデオの中身に没入するという感じだった。
「…………はあーっ。はあーっ」
いつの間にか、再生は終わっていた。全身が筋肉痛だし、頭の中は詰め込まれた情報が、一挙にぶちまけられていて混乱している。
「ちょうど一時間だね。お疲れ様」
那美はいつの間に用意したのか、缶ジュースを飲んでいる。
「……途中、何度かテケテケと花子さんに殺されたよ」
「ああ。最初のほうのテストでしょ。古典的シチュエーションの解決方法。私も苦労した覚えがある」
「そうなんだ。ああ……それから、技名を考えたよ」
「技名?」
「ほら、包帯出す時にさ。何か言いながら出したほうが、タイミングが取りやすくて。『絡み付く包帯』とか、『吸い取る包帯』とか」
「……ふーん。なるほど」
「……もしかして興味ない?」
「いやいや。そんな事は」
言いながら、那美はさっと手を振って、何もないところからスポーツドリンクを取り出す。
「まあ、とりあえず飲んで」
「でも、これ。夢なんでしょ。スポーツドリンク、意味ある?」
「気分が違うよ。さ、次の課題に移ろうか」
そんなものか。筋肉痛と頭痛で痛む体を引き摺りながら、煌津はスポーツドリンクの蓋を開ける。
「ここは?」
「ここは《呪文書の蔵》。白昼夢の広間の延長線上にある部屋で、九宇時家が代々管理している。九宇時の人間の許可があれば、他の退魔屋も入る事が出来る」
「これも夢って事……?」
「そう、夢。ただし今度は持ち帰りが可能」
持ち帰り? 一体どういう意味だろう。
「次の課題は、武器の調達」
「武器……。でもほら、包帯があるでしょ、あの、変身したあとの」
「包帯では祓いが出来ない。我留羅をビデオにするのは危険過ぎるしね。……そうだ、変身後の名前も決めておかないと。本名を我留羅に知られると、それを逆手に取られて呪詛かけられる事もあり得るからね」
退魔屋をやるわけじゃないけどね、と那美は付け加える。
「ここにある本は皆、呪文を唱えるだけで発動出来る呪文書ばかり。あらゆる国の伝説や神話を元に、歴代の退魔屋や魔術師たちが、その効能を比較的簡単に扱えるように開発したものなの。《
「アプリみたいな感じ?」
「そう。まさしくそんな感じ。アプリだから、自分の中に入れればその分、容量を食う。同じ人間がいくつも術をインストールする事は出来ないし、術と術者の相性によっては本を読む事さえ出来ない」
言いながら、那美はおもむろに一冊の本を手に取り、ぱらぱらとページをめくっていく。
「例えば、これは稲妻の書。名前の通り、唱えれば稲妻を発生させる事ができる。作者は北欧の魔術師、ルーンマスター。本来はルーン文字が必要な魔術を短い呪文で行使出来るようにしてある。……読んだ。見ていて」
本を閉じ、那美は右手の中指と親指をぎゅっと押し付け合わせて、軽く目を閉じる。
「
パチン! と指が鳴り、打ち合わせた指から稲妻が迸る。だが想像していたよりも、音は小さく、閃光もそれほど眩くはない。さながらテレビの音量を大きめにしていた程度の迫力だ。
「こんな感じ。まあでも、これは術と私の相性が悪い。インストールしたままだと、私自身の魔力の循環が悪くなるし、術も十全な効果を発揮できない。なので、この術は本の中に返しておく」
むん、と那美が本を持つ手に力を込めると、ぎゅるん、というような音がして本の中に、エネルギーのようなものが戻った。
「退魔屋が我留羅を倒す方法は大別して二つ。一つは
煌津は蔵の中をあらためて見渡した。見れば見るほど蔵は大きく広がっていくようで、星の数とも思えるほどの膨大な冊数は、明晰夢の中とはいえ、とても一冊一冊確かめてはいられないだろう。
「この中から、自分に合う術を見つけるって事? それは、その、かなりの時間が……」
「大丈夫。ここでは本来、人が本を選ぶのではなく、本が人を選ぶのが正しい形だから。魔力を放って、本に自分の事を知らせてみて。相性の良い本が、穂結君のところへとやってくるから」
煌津は頷いた。さっきの詰め込みビデオで、魔力を使う初歩は体得している。
床に手を置き、煌津は念を掌に込める。夢の中ではあるが、床は冷たく現実との違いはわからない。息を吐くのと同時に、弱めた魔力の波が掌から放出される。オレンジ色の燃えるような魔力の波が緩やかに床に広がり、角にぶつかって壁を昇る。
天井まで魔力の波が届くと、しばしの静寂が訪れた。
「反応ない……?」
「……いや」
さらに待つ。しかし、何も起こらなかった。
「嫌われてる?」
「……みたい」
えぇ……。
本の様子を見ていた那美が続ける。
「魔物喰らいの帯のせいかな。どの本も自分が喰われると思っている」
「じゃあ、どうしようもないじゃないか」
「うーん……」
那美が唸った。唸るなよ……。煌津は心の内側で呟く。どうしたらいいんだ。夢から覚めろとでも言うのか。
かたかた、という音が微かに聞こえた。煌津が音源を探るより早く、こつんと頭に何かがぶつかる。
「痛っ!?」
後頭部をさすりながら落ちた物を探す。足元に本が落ちていた。古ぼけた赤い本。表紙には漢字が二文字、書いてある。ひへんに玄武の玄。これで一文字。『炫』。そして次に、『毘』。
「これ、何て読むかわかる?」
那美が本の表紙を覗き込んだ。
「これは……『
「炫毘……」
煌津は本の中身を見た。中身は漢文だ。授業ではやったが、全く読めない。目で読むより先に情報が頭の中に入ってきて、その処理で精一杯だ。
「――っ、読み終わった」
「どんな術?」
那美がすぐさま聞いてくる。煌津は、今頭の中に入った情報を見直す。
「ええっと……光を出す術だ。手からでも足からでも、どこからでも」
「光? 光ってどんな?」
「こう、びかーっとだよ。何かそういうイメージがある。たぶん、出来る。出るとしたら、こう、びかーっとした光だ」
「何それ……」
那美は煌津が手に持った本のページをめくった。
「確かに光の術みたい。作者が書いていない。かなり古い術だね……。どこからでもって言った?」
「どこからでもって言った」
「……口からとかも?」
「出来るね。頭の中にイメージがある」
「やってみて」
そう言ったものの、那美の顔は困ったような風だった。
「その……光がびかーっと出るのが、どれくらいの武器になるかはわからないけど。使える術は確かめておかないと」
「そうだね。そりゃそうさ」
反対する理由はない。煌津は、イメージした。教習用ビデオによれば、術を使うにはイメージが重要だ。気を集中し、大きく息を吸い込む。
「すぅー……炫毘!」
煌津がそう叫んだ途端、口の中に熱を感じたのも束の間、何かが爆発したような音とともに、強烈な火光の爆炎が、煌津の口から飛び出した。
「爆発してるじゃねーか!」
唐突に那美がキレた。
「口悪いな!? 仕方ないだろ! 俺のイメージでは爆発しなかったんだ!」
「びかーっと光るだけの術が何で爆発すんの! 蔵が燃えたらどうするつもり!?」
「夢でしょ!」
実際問題、本に燃え移った爆炎は、しかしまるで何事もなかったかのように修復されていく。
「ただ光るだけの術が何でこんな……。いや、まあいい。これだけの威力なら大抵の奴は消し飛ばせるし」
那美は頭を掻いた。
「課題はこれで終了? 結構あっさり終わったね」
「いいえ」
那美は手をかざし、ゲートを開く。
向こうに見えているのは、白昼夢の広間だ。白い空間の中で、何かが動いている。鬼のような化け物や、校庭を歩いている二宮金次郎像。テケテケ。花子さん。怪談によく出てくる怪異たち。
「これからその術、特訓してもらう」
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