第6話
15日過ぎた辺りで、進入許可が出た。装備を整えた冒険者達が慎重に降りていく。
今度の第5階層は、ダンジョン内が、うっそうとした木々に覆われていた。森になっていたんだ。これまでの階層では、明るさを保つ設計がされていたが、夜の森に入り込んだかのようで、さらに霞がかって、五感を研ぎ澄まさないといつ襲われるか分からない緊張感が漂っていた。
案の定、毒系の蜘蛛・蛇といったモンスターが多く、湿度があるせいか、苔や茸も自生している。密林探索となった第5階層では、ドロップ品も多種にわたり、難易度高いが探索冒険には噛みごたえのある設計となったようだ。
時間をかけ探索が進み、大きな幹の根本に第6階層入り口を発見した。
「時間がかかったようだな。それでは、次の権利条件を伝える。私を見つけることだ」
第5階層主であるトコピが、そう宣言すると、霞んだ森の中に消えていった。魔法は使えるが、燃やせば皆死んでしまうし、風魔法で切り刻むと、食虫植物が反応して、ツタが絡みついて身動きが取れなくなる。
捜索に苦戦している者がいれば、階層主権利を放棄しているものは、のんびり果実を取って食べたり、木々を利用してハンモックを作りくつろいでいた。その中には、第2階層主であるリステアもいた。
「もう、虫が多いなぁ」
リステアは、器用に草を見分け、燻せば虫よけ効果のある草を集め、焚き火の中に放り込んだ。匂いがキツイ煙が周辺に漂い出した。さらに、リステアは、煙をあおいで周辺により行き渡るようにしている。
「参った、降参だ」
曲がり角の木々から倒れ込むように、トコピが出てきた。水で目と鼻を洗い、とても苦しそうにしているが、獣人には耐えられない煙らしい。
しょぼしょぼする目を擦りながら、トコピがリステアに何かを渡した。
「え、また?」
トピコが設計仕様書を手渡したため、リステアが第6層階層主の権利を得た。どよめく冒険者達。確かに、階層主が決めた勝負に対して、優劣がついたので、権利獲得に間違いはない。
戸惑いながら、リステアが第6階層入り口から降りていった。すると、すぐに上がってきて、こう叫んだ。
「皆さん、いっしょに来てください」
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