第3話 魔力の絆

僕の部屋のベッドは大きい。とても。

母上たち3人が手を広げた大きさだ。


僕はひとりで寝ることができるんだ。


いつもベッドの上で、ケンタさんがくれた『魔物図鑑』を読んでいる。

いつの間にか寝ている。


しばらくして、母上がベッドに入ってくる。

僕を抱きしめてくれる。好い匂い。

抱きしめ返すほどの意識は残っていないけれどね。


【循環】


5歳になってから、母上は魔力を流してくれる。

すると、とある夜にそれは突然起こった。


【小倉杏から受け取った魔力――が累計100,000に達しました】


【――魔力の絆――の解放条件合致を確認しました】

【魔力元、魔力先の肉体負荷、精神負荷、魔力流通可能量――を確認しました】



え? え? なにこれ。



【通常スキル及びギフト――の解放が始まります】



母上の顔を見上げると、驚いた顔の母上の視線が重なった。

同じ声が聞こえているようだ。

母上が微笑んでくれた。


ほっとした。ほんの少しだけ。


【通常スキル―《解放》】


【温度魔法、全体レベル0――が解放されました】

【初期スキル『常温水(毎分5リットル)』スキルレベル0――が解放されました】

【初期スキル『そよ風(風速5メートル)』スキルレベル0――が解放されました】



母上は僕を抱きしめてくれた。僕も抱き返した。



【ギフトレベル3 状態異常(75%無効)耐性―0歳時取得―が解放されました】



【ギフトレベル0 空間次元―5歳時取得―が解放されました】


【ギフトレベル0――の派生スキルが解放されます】

【――『プロテス(対物理攻撃20%減)』――が解放されました】

【――『回転』――が解放されました】

【――『3D地図作成』――が解放されました】



【ギフトレベル0――時間次元―5歳時取得―が解放されました】


【ギフトレベル0――の派生スキルが解放されます】

【――『スロー(遅延効果30秒 遅延時間▲50%)』――が解放されました】

【――『ヘイスト(加速効果30秒 加速時間50%増)』――が解放されました】

【――『パラレル(並列思考時間30秒 効果200%増)』――が解放されました】



【魔力の絆――のダウンロード――が完了しました】

【続いてインストール(取扱説明書付き・操作パネル(ステータス表示用))――を開始します】

【終了まで――3時間の睡眠――を必要とします】



僕のまぶたが重くなってきた。


「レオ君も 明日から魔法使いね。おめでとう」


母上の優しいささやきに返事をする前に、夢の世界に落ちた。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る