第一章 五歳
第2話 レオナルドと婚約者
ローレンス歴100年
僕が生まれた国が100歳
僕はレオナルド・オグラ・レイモンド・ローレンシア。5歳だ。
短髪のブロンド、青い目。
母上たちは
「ああ 疲れたわー」
といって僕の部屋のベッドにうつぶせている。
王都での100年祭イベントから帰ってきたとのこと。
アカネさんもナツミさんも、母上の横で同じ格好だ。
三人は学生時代の同級生。年齢は知らない。
けれど、20歳前半の女官長よりも、10代後半の侍女よりも年下に見えるのだ。
不思議だ。
三人が「黒髪、黒目、童顔だからじゃない?」
と使用人全員に対して、悪い笑顔でとぼけている姿を何度も目撃している。
◆
「レオ君、ちょっと腰に魔力を流して」
と云う母上アンズ様のお尻に馬乗りになった。
腰に両手の手のひらを乗せた。
〈循環〉
と僕は声に出して、手のひらをブルブルと前後させた。
「え~レオン君、魔法が使えるの?」
と丸く青い目をさらに丸くして僕の右肩を揺さぶってくるのはアオイちゃん。
僕の婚約者で同じ年の女の子。
アカネ・タケダ・ジョーンズ・ローレンシア公爵様のご令嬢だ。
「ううん、使えない。」
肩をすくめてアオイちゃんに応えた。
左側の肩を揺らし始めた双子にクスクスと上品に笑われた。
僕が振り返って二人を見て、残念さが伝わるように微笑んだ。
この双子はそっくり。ヒナタちゃんとルナちゃん。
僕の婚約者で同じ年の女の子。黒目、黒髪ストレートの女の子。
ナツミ・ホウジョウ・ローレンシア公爵様のご令嬢たちだ。
彼女たちのお父様は、ケンタ・ホウジョウ・フォン・ローレンシア公爵様
彼の名著『ギルバート平原および大森林魔獣大図鑑』は僕のお気に入りだ。
「いいのよ、魔法が使えなくても。大事な息子レオとのスキンシップなのだから」
寝返りをうつように、仰向けになってから、ボクの両脇に母上は両手を入れて抱きしめてくれた。
頬擦りもしてくれた。
いい匂い。僕の大好きな母上の匂いだ。
【循環】
母上が僕の耳元でささやくと、魔力が流れ込んで僕の全身を経由して母上に戻っていく。
とても気持ちがいい。
ちょっとオシッコがでそうになる。
もちろん、がまんできるよ。
ふわふわっとした気持ちになるのだ。
陽当たりの良いポカポカした日に、お外で本を読んでいるときに眠くなる時と同じだ。
◆
「ねえ 大きくなったら冒険者になろうよ」
三人の婚約者に聞いてみた。
「アオイはケーキ屋さんになりたい」
「ルナはパパみたいに本が書きたいかな」
「ヒナタはセンギョウ主婦。稼いできてね。旦那さま~」
ままごとが、まだ終わっていなかったようだ。
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