ロリとロリコン

森林梢

第1話 ドアを開ければロリがいる



「けーちゃーん!」



玄関のドアを開けた瞬間、可愛らしい幼女が、俺――乃木啓介――の足に抱き着いた。

絹のような黒い長髪。

白磁のような、きめ細かく白い肌。

子供ながら、プロポーションは抜群。

服装は、ピンクベージュのワンピース。生来の可愛らしさを、存分に引き出すファッションだ。背には赤いランドセルを装備している。

乃木比奈子。小学校一年生。従妹だ。

少し距離を取ってから、小首を傾げて、彼女は聞いてきた。


「どう? わたし、かわいい?」

「バッキャロウ」


俺は半眼で続ける。


「宇宙一カワイイに決まってんだろ。自分の可愛さを疑うんじゃねぇ」

「やったー!」


婉曲えんきょくな称賛を受けて、比奈子は素直に喜ぶ。


「けーちゃんも、すっごくかっこいいよ!」

「……」


洗面台の鏡で、自分の容姿を確認。

自分で言うのも変な話だけど、スタイルは悪くないと思う。

赤みがかった茶色のショートカットも、我ながらイカしてる。

服装はジーパンに赤のTシャツ。部屋着だ。ちっとダセェけど、しゃーない。

姿勢は絶対に駄目だな。猫背すぎ。

顔立ちも可愛くない。周囲には、狼っぽいとか言われるし。

という訳で、結論。


「……お世辞でも嬉しいもんだな」


柄にもなく上機嫌で、比奈子をリビングへ通す。

部屋のすみにランドセルを置く比奈子。ため息が漏れた。


「また学校帰りに来たのかよ。ちゃんと、叔母おばさんに報告してから来い」

「したもん。『ともだちのいえであそぶ』っていったもん」

「友達じゃねぇ。ちゃんと年上をうやまえ」

「じゃあ、こいびと?」

「……」


反射的に、小さく舌打ちしてしまった。


「前も言ったけど、俺、ロリコンだぞ? お前のこと、いかがわしい目で見てるんだぞ? 怖くないのか?」

「こわくないよ。けーちゃんだもん」


へっちゃらだと言わんばかりに、彼女は俺の方へ顔を寄せてくる。


「――きす、する?」

「バッキャロウ」


半笑いで返す。


「本物のロリコンが、ロリに手を出すわけないだろ」

「じゃあ、わたしがおっきくなったら、てをだすの?」


真顔での問い。

熟考の末、返答した。


「……発育次第だな」

「さいてーだ!」

「あ、勘違いするなよ。発育が良かったら、手は出さないって意味だぞ」

「ろりこんだ!」


今に始まった話じゃねぇだろ。

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