第百九話 勇21 もう一方
「久しぶりに感じますね。こうやって2人きりで出かけるのは」
「そうだね。最近はみんなで行動したり、宿にいたりで2人で出かけるのってなかった気がするもんね」
「最初の頃は、いつも2人だったのに自国で護さんを発見してからというもの結笑は、変わりましたからね」
「いい方にでしょ。というか、それまでが静かだったって言う方が正しい気がするし」
「まぁ、そうですか。今の様子を見ても」
私は護くんと真央と分かれて、宿を出てギルドに依頼を受けにいく最中にメアナと話していた。まえにも言っているが、メアナと2人きりで出かけるのは本当に久しぶりだ。最初にこっちにきてからの、2人での行動も楽しかったけど、最近みたいにみんなで出かけるのも楽しいのだ。
さらに言うと、2人で行動する意味がないのだ。こう言うと直接的だが、2グループに分かれたとしても、片っぽが2人になる事がほとんどない。さらに今泊まっている宿も部屋が違うため、寝る前にその日にあったの事を2人で話すと言う事もなくなっている。
そんなこんなで、今日の2人行動を楽しめたらなって思う私なのです。まぁ、楽しむって言っても、することはギルドの依頼をこなすのと、真央、、、。魔王の噂の出どころを聞き込み調査なんだけどね。
その中で、これまで思っていたこととか話せればいいな。私は、そんな私の今日の予定を立てる。
しかし、予定を立てるだけじゃあ意味がない。その立てた予定を実行してこそだと私は思うのだ。だからこそ、私はおしゃべりを楽しむのだ。
ギルドで依頼を選ぶ時、依頼をこなしている時、お昼ご飯を食べる時、ギルドまで帰っている時。いっぱい話す時間はあった。
「今日は楽しかったですね。結笑とは本当に久しぶりでしたけど、たまにはまた2人の時間がとれたらと思いました」
「私も、私も!やっぱり何も考えずにおしゃべりできる相手はメアナしかいないよ。私も今日色々話せて楽しかったもん。また、機会があればいいね」
「はい、そうですね。ところで、今日の目的ってまだありましたよね。噂のこと」
「あっ、、」
普通に宿に帰ろうとしていた私にメアナが釘を刺す。おしゃべりに花が咲いて楽しい気分だったところに、自分が言った事を忘れていた事を思い出して、少しテンションが下がる。
でも、そんなの事で噂の聞き込みはやめてはいけない。ちゃんと聞いて帰るのだ。私は気合を入れて街の人に聞き始める。
「すみません。魔王の噂ってご存知ですか?」
「あぁ、知ってるよ。復活したんだってね。でも、それがどうかしたのかな?」
「その噂って誰から聞きましたか?」
さぁ、ここからが本題だ。この人から辿っていけば、出どころにいつかは辿り着くだろう。
「えっと、俺はふと思っただけだな。後は仲間と確認してやっぱり?みたいな感じだ」
えっ?そんな事ってあるの?
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