第百八話 噂はどこから


「今日はどこに行くんですか」


 ちゃんと目が覚めているアテナが俺にそう質問してくる。ちなみにだが、アイリスは起きてから30分は経っているのに、未だに眠そうに俺にひこずられている。


「いや、特には決まってないよ。街中で魔王に対する噂の出どころを聞き込み調査しようと思って」


「あぁ、昨日天照様とウンディーネと話したんでしたね。それでそれ以外の話はどうなったんですか?」


 俺たちの話し合いの最中寝ていたため、アテナとアイリスは、どんな事を話していたか内容を知らない。俺はアテナの方は、起こしておけば良かったなと思いながら、一から今日の出来事を話す。


「そんな話になったんですか。じゃあ、今結笑さんたちはギルドの依頼を受けてるんですね」


「うん、そうだと思う。流石にまだ帰ってこないと思うけど」


 結笑たちがでてからまだ1時間も経っていないはずだから、もう帰ってきたら流石に早すぎるだろう。


ぐぅ〜


「お兄ちゃん、お腹すいた」


「あぁ、ごめん。もう昼も近いね」


 メアナと話していると真央のお腹のなる音と共に少し、元気のなさそうな声が隣から聞こえる。


「私、串焼きがいいです!」


 逆に俺の後ろからは元気なアイリスの声がする。串焼きの話になると元気だな。しかし、昨日の事もあるしアイリスに串焼きは絶対に買わない。と、いう事でアイリス以外のみんなで串焼きを食べる。アテナは最近串焼きめっちゃ食べてない?


 まぁ、本人が何も言っていないのでいいとしよう。あと、とりあえずアイリスにはそこで買ったパンを食わせとこう。


「私も串焼きがいいです〜。護さ〜ん」


 俺は釣られそうになる意識を引っ張り戻し、意思を固める。これでアイリスもどうも出来ないだろう。


 みんなで腹ごしらえをした後は、本格的に聞き込み調査を開始する。この国の人から行商できているであろう人、冒険者などにこんな質問をするのだ。


「突然すみません。あなたは魔王の復活と討伐のことって誰から聞きましたか?」


 これなら俺たちの聞きたい事も分かるし、意味の解釈違いもない。


 しかし、どんなと人きいたとしても返ってくる答えはどれも同じようなものだった。


「えっ、なんとなく?人と集まった時に確認したら俺も!私も!みたいな感じだったから」


 これが1人2人なら、忘れたけどなんとなく理由つけたのかな?とも思えるけど、ほとんどこんな感じの答えなのだ。


 これは魔王の噂や存在には女神が関わっていると見て間違い無いだろう。人が多く集まるミロナン王国で聞いてこれなら、他のところでも多分の同じ結果になるだろう。


 今日噂の出どころを聞き込みをして、俺たちの出した答えはこんな感じだったけど、まだ結笑たちと合わせてないから、なんとも言えない。


 俺たちは、そのままもう少しだけ聞き込みを続けるのだった。

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